【サブスクで観るならこの1本!】人間が喰われる地獄!トラウマ必至!ホラー界の鬼才が描く食人族の恐怖
サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2013年制作の『グリーン・インフェルノ』をご紹介します! ◇ 『グリーン・インフェルノ』(2013年・アメリカ) (配信:U-NEXT) 【画像】閲覧注意? 原住民の協力(出演)を得て撮影されたリアリティあふれる描写の数々 ホラー界の鬼才イーライ・ロス監督が、ルッジェロ・デオダート監督作『食人族』をモチーフに描くサバイバルホラー。NYの大学へ通うジャスティン(ロレンツァ・イッツォ)は、先輩に心惹かれたのをキッカケに過激な慈善活動を行うグループに参加する。資源を得るためアマゾンの森林を伐採し、そこで暮らす先住民の生活を脅かしている企業を糾弾するため現地に乗り込んだ一行は、見事計画を成功させる。だが、帰りの飛行機がエンジントラブルによりジャングルに墜落。生き残ったジャスティンらは先住民に捕えられるのだが、彼らは人を食す文化を持つ食人族であった……。 この作品を「好き」というと、何かしらの誤解を生みかねないし、グロいものが好きな人なのだと認識される恐れが大いにある。無論、後者に該当する方は一定数いると思うし、それ自体悪いことではない。その上で、何故自分がこんなにもこの作品に惹かれるのかを考えてみると、日常では決して目にすることがないであろう映像や価値観に出会うことができるから。それに尽きると思う。撮影は実際にアマゾンの奥地で行われ、電気も水道も通っておらず、TVも映画も観たことのない原住民の協力(出演)を得ているため、アメリカからやってきた若者たちの異物感がより一層際立ち、作品のリアリティが強固なものとなっている。 また、グロ描写のクオリティも極めて高く、ある程度の耐性がある人でないと直視は難しいかもしれない。人を食す原住民たちが悪いのか、異なる価値や文化を持つ者たちのテリトリーへ不用意に立ち入った若者たちが悪いのか、若者たちがアマゾンへ足を運ぶ原因を作った企業が悪いのか。グロ描写にばかりフォーカスが当たりがちな本作ですが、勧善懲悪に収まらない登場人物たちのあり方は、この現実にも通じるものを数多く宿しており、目にする者に多くを考える機会を与えてくれるに違いない。 (C) 2013 Worldview Entertainment Capital LLC & Dragonfly Entertainment Inc. ※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。 ミヤザキタケル 1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 WOWOW・宝島社sweet・DOKUSOマガジンでの連載のほか、ラジオ・配信番組・雑誌などで映画を紹介。イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジュ」など幅広く活動中。
ミヤザキタケル