JOC山下泰裕会長が会見(全文2)巨大化した五輪見直すきっかけに
日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長は28日午後、外国特派員協会(東京都千代田区)で記者会見を行った。 【動画】JOC山下泰裕会長が会見 東京五輪のコロナ対策は?(2021年6月28日) ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは「JOC山下泰裕会長が会見 東京五輪のコロナ対策は?(2021年6月28日)」に対応しております。 ◇ ◇
どの選手にとってもフェアなのか
ブルームバーグ:こんにちは、ブルームバーグの萩原です。多様性、共生社会を掲げて、五輪後のレガシー、誰にとってもフェアな社会になることをすごく期待しているんですが、今日はその手前の大会でのフェア、選手にとってのフェアについてお伺いしたいと思います。 中には、テスト大会が中止になって、選手はぎりぎりにならないと日本に入ってこれない人たちもたくさんいます。そうした中でインドの方々など、特定の地域の方々は3日間の隔離を求められたり、一方でバドミントンの日本選手団は選手村に入らずに別の場所で宿泊をしたいとJOCに申請していると思うんですけれども、こうした選手の生活環境、日本での環境はだいぶ変わってくると思います。1年延期のあと、国によっては世界大会にまったく参加できずに、トレーニングする機会が少なかった選手もいますし、入国制限をする中で家族やサポーターの帯同が得られずに、来てみたら日本の観客だけということもあると思います。こうした環境の中で山下会長は五輪がどの選手にとってもフェアになるとお考えでしょうか。また、フェアな大会にするための課題はなんでしょうか。お聞かせ願います。
格差が出てきているのは事実
山下:ありがとうございます。今回、1年間、大会が延期になったことによって、日本だけじゃなく世界の国々でオリンピック出場の夢が途絶えた選手の人たちもいると思います。それから1年延期になったからチャンスが広がった人たちもいるかと思います。練習環境に関しても、特別なところで隔離されて練習に集中できている国々とか、そういうのがまったくない国々、それから比較的、海外との、そういうトレーニングとかを一緒にやったりすることができるところとできないところ、ご指摘のようにさまざまなところで、そこに格差が出てきているのは事実です。 それから大会の5日前に入り、大会が終わったら2日後にはもう選手村を出る。海外から来る選手たち、これ、かなりきつい制限だと思います。ただ、これ、このようないろんな制限を各NOCや各IF、それからIOC委員等々に、日本国民に迷惑を掛けないためにこういう制限をしなければいけないと理解してほしい、了解してほしいといったときに、かなりの反発があると想像していました。私の予想は裏切られました。各NOCでも、各国際スポーツ連盟でも、あるいはIOCでも、まず真っ先に切ったのがIOCのファミリーですね。これ、一番最初でした。ご高齢の方もおられますけどね。どれも全て、その会議で、それに対する反対の意見はありませんでした。細かい質問はあったけど。私はそこで強く感じた。どんなことがあっても、なんとしても安全・安心を確保してオリンピックを東京で開催してほしい。それは世界中の人たちの、特にアスリートを抱える多くのNOCの強い希望であり要望であり、そのためには無理と思われるような制限であってもそれを受け入れる。それは感じました。 ですから、いろんなところでそこに差が出てきます。アンフェアと思われる部分もあるかもしれません。でも、それでも大会を開催して世界からのアスリートが集ってほしい、それが一番の、このオリンピック、特に選手たち、あるいは選手を指導している指導者の人たちの思いだと、こう思っています。 インドとか限られた国の人たちは特別に3日間の管理がされると。やはりそういう形をしていかないと日本国民の理解を得れない。しかし私が確認しているところ、その3日間、トレーニングとかそういったことがまったくできないということではない。しっかり管理した中で、限られた状況の中でもできるだけの、選手たちが最高のパフォーマンスを発揮できるような環境はつくっていただきたいと、こう思っています。