なぜ井岡一翔のドーピング禁止薬物”大麻”検出が約4か月後に問題となったのか…JBCが緊急事情聴取予定も広がる疑念と困惑
JBCは、井岡サイドへは倫理委員会を開く通達を行っているにもかかわらず、週刊誌の報道を受け、永田有平理事長(東京ドーム顧問)が会見を開くなどの対応を一切せず、新型コロナウイルス小委員会に出席していたJBCの関係者は、「スマホで報道は見たが事実確認ができていないのでコメントのしようがない」と返答した。 また日本プロボクシング協会も、JBCに対して報道に関する事実確認を求める姿勢を示した。JBCは今日27日にプレスリリースを出す方向だが、対応は1日遅い。週刊誌報道だけが先行してJBCが情報を開示しないため疑惑や困惑だけが広がることになっている。 畑中会長は、あくまでも報道を受けての仮定の話として「もしドーピングでアウトなら(井岡の)タイトルは剥奪でしょう。尾川の時は無効試合。1年のライセンス停止でしたから」との意見も口にした。 畑中会長が指摘した過去の日本人ボクサーのドーピング違反の例が、2017年12月に米国で行われたIBF世界スーパーフェザー級王座決定戦で判定勝利した尾川堅一(帝拳)から禁止薬物が検出されたもの。ネバダ州のアスレチック・コミッションによるドーピング検査で判明したものでB検体からも禁止薬物の陽性反応が出たためタイトル戦は無効となりタイトルは剥奪、JBCはライセンスの1年間停止処分を下した。またJBCが管轄している国内の世界戦でのドーピング検査で、過去に禁止薬物が検出された試合としては、2017年にWBC世界バンタム級王者の山中慎介(当時帝拳)と対戦した現WBC世界スーパーバンタム級王者、ルイス・ネリ(メキシコ)から禁止薬物のジルパテロールの陽性反応が出たケースがある。ただこれはプロモーター側の帝拳がより精密な検査を専門機関に事前に依頼していたもので、JBCのドーピング検査によるものではなかった。ネリは、その後のB検体の検査でも陽性反応が出たが、WBCはネリ側の「大量に食べた牛肉に含まれていた」との言い訳を受け入れ処分を下さず山中との再戦を指令している。 いずれにしろJBCの井岡への聞き取り調査と、倫理委員会の結論が出るまで、この問題の決着は見ないが、どんな結論が出るにしろ混乱は避けられない。新型コロナ禍で大打撃を受けているボクシング界にとってさらにショッキングな騒動が勃発してしまった。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)