なぜソフトB“熱男”松田宣浩は「40歳まで4年契約」の球団提示を断ったのか…裏に最年長Jリーガーカズに学ぶ闘争心
越年をするつもりはなかった。 「もめているわけでも、ごねているわけでもなかったです。ほんと日がなかっただけ」 ソフトバンクの松田宣浩(36)は、“日本一ホークス“で一番最後となる1月23日に2年、9億円(金額推定)で契約を更改した。1年換算で5000万円増となる4億5000万円だ。本当は、年末のハワイへの優勝旅行と、その後に計画していた家族旅行の間にサインする考えでいたが、そのタイミングで球団から最終提示がなかったため越年になったという。 実は、球団からのオファーには2年と4年の2パターンの複数年契約があった。5月で37歳になる松田に4年のオファーは異例とも言えた。4年契約なら松田が目標に掲げる「40歳まで現役」が約束されることになるが、松田は、その4年を断り2年を選んだ。 FAや海外移籍チャンスの少ないベテランが長期の複数年契約を断るのもまた異例のケース。なぜマッチは、その好条件に耳を貸さなかったのか? 「ここから長くやってゆっくりしようという気持ちになるのはまずいと思ったんです。前回は、4年契約を結びましたが、1年1年が勝負。ここまで全力で駆け上がり、5年連続で全試合出場をしてきた僕の性格からすると、4年が保証され、安心してしまうことは、プレーヤーとしてダメになると。ケガのリスクの高い投手なら4年契約がいいのかもしれないが、僕の場合は逆。迷いましたが、スパっと2年契約に決めた。この1、2年、“よしやってやるぞ“という気持ちでバリバリ結果を出せば、おのずと、3年目、4年目もついてくると思う。1、2年すべって、4年契約を結んでいた場合、精神的にきついと思った」 “熱男”と呼ばれる一本気な松田らしい決断である。
グアム自主トレでカズとの交流
新年恒例の福岡・大嶽神社の階段上りからグアム自主トレ、亜細亜大合宿と、キャンプイン前の準備は整えた。グアムでは、52歳にして今なお現役、今季からはJ1に復帰する横浜FCの「キング・カズ」こと、三浦知良との交流があった。カズもグアム自主トレが毎年の恒例。共通のいきつけの日本食料理店の“お母さん“の紹介で数年前から面識があり、昨年から本格交流がスタートしたが、大きな刺激を受けたという。 「とにかく凄い人。1年経っても去年と体型が変わらないし、むしろ若くなっている。サッカー選手なので独特の筋肉の質と細さもあるのだろうが、驚くばかり。しかもギラギラされていた。そこは刺激。見習わねばならない」 今回のグアム自主トレ参加メンバーは、ソフトバンクからは牧原大成(27)、水谷瞬(18)の若手2人。他球団からも横浜DeNAの宮崎敏郎(31)、佐野恵太(25)、嶺井博希(28)、オリックスの頓宮裕真(23)、西武の山田遥楓(23)らが参加、総勢8人になった。 「僕もカズさんに対抗するわけじゃないけれど、年々強くなっている。今年37歳になるが、メニューをきついと思わなかった。若い選手に引っ張ってもらって、必死についていき、全メニューをこなせている。それができている限り野球選手としてやれると思う。あとは技術を変えるだけ。考えていた通りの1月を過ごせた」 若手に引っ張られてエネルギーをもらった。西武の山田は、ライオンズの“熱男“を自負する元気印だ。 2020年の松田には、世代交代という名の年齢との戦いと熾烈なチーム内競争が待ち受けている。昨季は143試合フルに出場、打率.260、2年連続の30本塁打超えを果たし76打点の成績を残したが、クライマックスシリーズのファーストステージでは、スタメンから外される悔しさを味わった。そして29日には、ヤクルトの9年間で通算288本塁打を誇るバレンティン(35)の入団会見が行われた。 国内FA権を取得したバレンティンは、日本人扱いで、デスパイネ、グラシアル、バレンティンの3人を並べる超攻撃的打線が可能になる。様々なパターンが考えられ、特にグラシアルの起用法にはライト、三塁、一塁と幅広い選択肢がある。もしグラシアルが三塁で起用されるなら松田が外されるケースもありえる。