「金は出しても口は出さない」──表現の自由が認められる国家において、これが文化事業支援の基本理念です。今回の文化庁の決定はこれを覆すもので、今後の文化行政に大きな禍根を残す前例となります。憲法違反の疑いも出てくるでしょう。 類似案件に、2007年の中国人監督によるドキュメンタリー映画『靖国 YASUKUNI』があります。この作品に文化庁管轄の助成金が出されていたことが、自民党の稲田朋美議員など一部の極右政治家から問題視されました。加えてこのときも一部右翼が映画館に抗議をし、上映中止が生じました。 しかしこのときは、文化庁は国会で従来の立場をしっかりと説明し、助成内容を変更することはありませんでした。それから12年経って今回の一件が生じましたが、文化庁の対応はそのときとは逆です。 表現の自由をまともに認められない国家になりつつある日本は、北朝鮮のような全体主義国家に近づきつつあるのでしょう。
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コメンテータープロフィール
まつたにそういちろう/1974年生まれ、広島市出身。専門は文化社会学、社会情報学。映画、音楽、テレビ、ファッション、スポーツ、社会現象、ネットなど、文化やメディアについて執筆。著書に『ギャルと不思議ちゃん論:女の子たちの三十年戦争』(2012年)、『SMAPはなぜ解散したのか』(2017年)、共著に『ポスト〈カワイイ〉の文化社会学』(2017年)、『文化社会学の視座』(2008年)、『どこか〈問題化〉される若者たち』(2008年)など。現在、NHKラジオ第1『Nらじ』にレギュラー出演中。中央大学大学院文学研究科社会情報学専攻博士後期課程単位取得退学。 trickflesh@gmail.com
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