提言社会科学系の博士号取得者の問題に限定するが、そこには日本社会固有の問題があるように感じる。 博士号は特定の研究分野での専門性や先進性、また新規性などを考慮して授与されるが、それは「専門バカ」の育成を目指すものではない。学問分野を特定の方法論で研究し、成果を社会的に活かす能力などが評価されるものである。よく、この問題しか知りません、という博士号取得者がいるが、それは本来の目的を踏まえていない人物である。企業側が博士号取得者を忌避する最大の理由だと思う。 もう一つは、博士号取得者の進路の狭さである。欧米やアジア諸国を見ていると、博士号取得者の進路先として、大学以外の研究機関が圧倒的に多い。そのような研究機関の不足は日本社会の構造的な問題である。就職支援では、政策形成におけるシンクタンクや研究機関の充実を図ることが重要な意味を持つと思う。企業も含め「回転ドア」の意義を再確認すべきである。
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コメンテータープロフィール
岡山県出身。一橋大学大学院修了(博士・法学)。防衛庁防衛研究所主任研究官(アメリカ研究担当)より拓殖大学海外事情研究所教授。専門は、国際関係論、安全保障、アメリカ政治、日米関係、軍備管理軍縮、防衛産業、安全保障貿易管理等。経済産業省産業構造審議会貿易経済協力分科会安全保障貿易管理小委員会委員、外務省核不拡散・核軍縮に関する有識者懇談会委員、防衛省防衛装備・技術移転に係る諸課題に関する検討会委員、日本原子力研究開発機構核不拡散科学技術フォーラム委員等を経験する。特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の自律型致死兵器システム(LAWS)国連専門家会合パネルに日本代表団として参加。
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