見解災害救助法の適用により、災害救助の責任実施主体は、市町村から都道府県へと移ります。予算も県と国が負担する仕組みになりますので、被災した市町村は救助費用を心配しなくてもよくなります。とはいえ、平時の災害対策や防災は市町村の役割とされているため(災害対策基本法第5条参照)、市町村としては、現場で思い切った災害対応をすることに躊躇してしまうケースも過去にはありました。この点、青森県では早期に災害救助法の適用を宣言し、知事が「お金で私たちがちゅうちょすることはありません。このために財政調整基金がありますから、しっかりと出すべきタイミングでは除排雪していきたい」というトップメッセージを発しています。法理念にも則っていますし、被災者や市町村へのメッセージとしても大変有益なものであり、素晴らしい対応だと考えます。
コメンテータープロフィール
「災害復興法学」創設者。鎌倉市出身。慶應義塾大学卒業。銀座パートナーズ法律事務所。弁護士。博士(法学)。気象予報士。岩手大学地域防災研究センター客員教授。北海道大学公共政策学研究センター上席研究員。医療経営士・マンション管理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)・防災士。内閣府上席政策調査員等の国家公務員出向経験。東日本大震災後に国や日弁連で復興政策に関与。中央大学大学院客員教授(2013-2017)、慶應義塾大学、青山学院大学、長岡技術科学大学、日本福祉大学講師。企業防災研修や教育活動に注力。主著『災害復興法学』『被災したあなたを助けるお金とくらしの話』『図書館のための災害復興法学入門』。
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