見解トランプが不法移民対策を選挙戦最大の争点にしたいという意図はわかりますが、客観的に見ると非常に奇妙な状態です。バイデンによる破滅的な「国境開放法案」をつぶしたと発言したようですが、先日潰された法案は、議会上院で共和党の提案に基づいて国境警備強化とウクライナ支援を抱き合わせにした法案でした。たしかにバイデン政権発足当初は民主党内で国境開放論的な議論が提起されることもありましたが、バイデンはその議論には一貫して距離をとっています。そもそも、最近国境周辺地域のみならず都市部でも不法移民の急増しているのを受けて、民主党内でも不法移民対策強化を求める声が強くなっており、バイデンも積極的になっています。未だに不法移民問題で民主党とバイデンを戯画的に悪魔化して批判する手法を採り続けるのを見ると、トランプは他に提起できる争点がないのかなとの感想を抱かされます。
コメンテータープロフィール
専門はアメリカ政治。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)。主要著書に、『アメリカ大統領とは何か:最高権力者の本当の姿』(平凡社新書、2024年)、『混迷のアメリカを読み解く10の論点』(共著、慶應義塾大学出版会、2024年)、『〈犯罪大国アメリカ〉のいま:分断する社会と銃・薬物・移民』(弘文堂、2021年)、『格差と分断のアメリカ』(東京堂出版、2020年)、『アメリカ政治入門』(東京大学出版会、2018年)、『アメリカ政治講義』(ちくま新書、2018年)、『移民大国アメリカ』(ちくま新書、2016年)、『アメリカ型福祉国家と都市政治』(東京大学出版会、2008年)など。
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