女性どうしの"ふうふ"に子どもは「幸せ」 日本では認められない同性婚、カナダに移住した"家族"
取材:KKT熊本県民テレビ
熊本県で子ども2人を育てていた女性どうしのカップルが今年、海外へ移り住んだ。移住先は女性のうち1人の母国であるカナダだ。 日本で子育てをしていたものの、同性婚の法律のない日本で2人は“ふうふ”として認められず、親子関係も保障されないからだ。家庭では笑顔が絶えず、子どもは2人の母親のことを「マミー」と「母さん」と呼ぶ。それでも4人は“家族”ではないのだろうか。「老後は大好きな日本で過ごしたい」。日本での同性婚の法制化を望む同性カップルの願いだ。(取材・文:KKT熊本県民テレビ 記者 藤木紫苑)
同性婚容認のカナダで結婚 精子提供受けて出産
熊本県出身の松本くみさん(49)は、英語教師として熊本で働いていたカナダ人女性のノックさん(46)と出会い仲を深めた。人生のパートナーは“この人しかいない”と固く誓った2人は付き合って4年ほど経った2007年、同性婚が法制化(2005年に施行)されているノックさんの母国・カナダで結婚し、女性どうしの“ふうふ”となった。 しばらくカナダで暮らしたが、子どもを育てたいという気持ちがあった2人は、松本さんが精子提供を受けて出産をすることを選択した。自分の生まれ育った熊本で両親に近いところで子育てをしたいと願った松本さんは、帰国を決意。ノックさんも再び日本での仕事を得て家族そろって熊本に暮らすことになった。
女性どうしで子育て 周囲から「言わないほうがいい」
2011年に長男・りゅうさん(13)、2013年には長女・みかさん(11)が生まれた。松本さんの親族、近しい友人たちは、はじめは驚きやその選択に葛藤していたものの女性2人で子育てすることを受け入れてくれた。子どもたちはおじいちゃん、おばあちゃんにも愛情を受けながら素直に育っていった。しかし、子どもたちの就学時期になり松本さんは周囲にどのように説明していいのか悩んだという。 松本くみさん 「田舎だし、周りからは『偏見があるから言わない方がいいよ』と言われて。関係が近ければ近い人ほどみんな言いました。」 堂々と過ごしたいと日ごろから考えていただけに、親しい人たちからの反応に不安を覚えるようになった。次第に、「子どもがいじめられるんだったら、周りには言えない」と思うようになったという。同性間で子育てをしてはいけないと言われているように感じ、松本さんは、「その時が一番つらかった」と振り返る。