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西山隆行

西山隆行

認証済み

成蹊大学法学部政治学科教授

報告

見解米国の税には連邦税と州税、地方税がありますが、連邦政府が決定できるのは連邦税のみです。連邦税については、勤労所得税控除など様々な税控除が存在しているため、実は国民の半数は支払っていません(一度支払った後に還付されています)。減税によって利益を受けるのは、国民の中でも経済的に満たされた半数ということになります。ただ、一般国民、とりわけ相対的な貧困層はそのような事情を理解していないため、減税という主張に飛びつきます。また、そもそも減税を決めるのは大統領ではありません。連邦議会がその内容の法案を通してくれなければ大統領は何もできません。現状では連邦議会上院は共和党が、下院は民主党が優勢と予想されていますが、この状況では減税も増税も実施困難でしょう。大統領の所属政党と上下両院の多数党の全てが一致する統一政府にならない限り、減税、増税というのは選挙対策の掛け声に終わる可能性が高いのです。

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コメンテータープロフィール

西山隆行

成蹊大学法学部政治学科教授

専門は比較政治・アメリカ政治。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)。主要著書に、『〈犯罪大国アメリカ〉のいま:分断する社会と銃・薬物・移民』(弘文堂、2021年)、『格差と分断のアメリカ』(東京堂出版、2020年)、『アメリカ政治入門』(東京大学出版会、2018年)、『アメリカ政治講義』(ちくま新書、2018年)、『移民大国アメリカ』(ちくま新書、2016年)、『アメリカ型福祉国家と都市政治―ニューヨーク市におけるアーバン・リベラリズムの展開』(東京大学出版会、2008年)などがある。

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