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今野晴貴

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NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

報告

解説フレックスタイム制は労働時間規制の例外の一つだが、「労働者にメリットが大きい」という特徴がある。類似の制度に変形労働時間制度があり、こちらも労働時間をフレキシブルに変更することができる。だが、変形労働時間の場合には、使用者側が繁閑に合わせて労働時間を設定するため、労働者は生活リズムを業務の変動に合わせなければならない。また、本来発生する残業代の割増部分も削減されることになる。 これに対しフレックスタイム制は労働者側が自分の生活に合わせて労働時間を選択できる。両方とも労働の柔軟性を拡大するにもかかわらず、発想は正反対なのである。実は、この変形労働時間制度の導入が積極的に進められているのが公立学校だ。夏休みなどは勤務時間が少ないのだから、普段の残業をそれで相殺しようという論理である。だが実際には夏休み中も多くの業務があり、ただ残業代不払いを正当化する結果になると批判されている。

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コメンテータープロフィール

今野晴貴

NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

NPO法人「POSSE」代表。年間5000件以上の労働・生活相談に関わり、労働・福祉政策について研究・提言している。近著に『賃労働の系譜学 フォーディズムからデジタル封建制へ』(青土社)。その他に『ストライキ2.0』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。流行語大賞トップ10(「ブラック企業」)、大佛次郎論壇賞、日本労働社会学会奨励賞などを受賞。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門社会調査士。

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