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今野晴貴

今野晴貴認証済み

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NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

報告

見解氷河期世代は団塊ジュニア世代にあたり世代人口が多く、受験競争も激しかった。かなり勉強もさせられた世代だといえる。ところが、企業はバブル期に彼らのすぐ上の世代を大量採用していて、バブル崩壊とともに彼らを守るために採用を徹底的に絞り込んだ。結果、もっとも勉強した世代がまったくスキル教育を受けず、「バブル世代」だけが日本企業に残り、優秀なロスジェネ世代は「フリーター」として使い捨てにされてきた。日本企業はフリーターを使った人件費削減で「最高益」を連発した。 その一方で、この20年間、日本の労働者のスキル低下やIT労働者不足が叫ばれ続けている。その理由はこの徹底的な採用抑制と人材育成の削減に原因がある。「人材が足りない、足りない」と言いながら、企業の教育投資は減少し続けてきた。もしこの20年、「ロスジェネ世代」に徹底的な教育投資を行ったなら、日本経済の今日の姿はまったく違ったものになっただろう。

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コメンテータープロフィール

今野晴貴

NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

NPO法人「POSSE」代表。年間5000件以上の労働・生活相談に関わり、労働・福祉政策について研究・提言している。近著に『賃労働の系譜学 フォーディズムからデジタル封建制へ』(青土社)。その他に『ストライキ2.0』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。流行語大賞トップ10(「ブラック企業」)、大佛次郎論壇賞、日本労働社会学会奨励賞などを受賞。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門社会調査士。

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