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今野晴貴

今野晴貴認証済み

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NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

報告

見解これまでの仕組みが特殊であったといえる。通常、賃金は職務やそれを遂行するために必要なスキルの水準によって決定される。当然、60歳を超えたからといって、突然スキルが低下するわけではない。むしろ、経験値は高まっている場合さえある。それにもかかわらず、日本ではおおむね年齢や勤続によって賃金を決定してきたし、定年後は無慈悲なほどの低賃金になってきた。若者についても同じだ。高い能力を大学や専門学校で身に着けても、若いというだけで異様な低賃金で処遇された。 「定年を超えたから低賃金」というのは変だ。公平性がない。それが公平であると日本で考えられたのは、仕事の内容や能力と賃金がまったく関係なくて当たり前だという観念があったからだ。いわば、雇用や賃金は「身分」のようになっていた。これからは日本でも、そうしたことは許されなくなっていく。これは進歩というよりも、当たり前の状態になっていくということに過ぎない。

コメンテータープロフィール

今野晴貴

NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

NPO法人「POSSE」代表。年間5000件以上の労働・生活相談に関わり、労働・福祉政策について研究・提言している。近著に『賃労働の系譜学 フォーディズムからデジタル封建制へ』(青土社)。その他に『ストライキ2.0』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。流行語大賞トップ10(「ブラック企業」)、大佛次郎論壇賞、日本労働社会学会奨励賞などを受賞。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門社会調査士。

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