見解斉藤さんが補足で、もう一作、桐島を主人公にした映画「桐島です」を紹介されています。同時期に、同じ題材の映画が2本制作されていることはとても興味深く、朝日新聞では石飛記者が、「逃走」と「桐島です」の2作を比較して紹介しています。その記事によると、「逃走」は逃亡の果て、桐島が過去を過去の自分と対話したり僧侶となった自分と対話をしたりと彼の心のなかを掘り下げようとしているようです。 70年代に起こった連続企業爆破事件の容疑者のひとり・桐島聡さんが逃亡生活を続けたすえ、今年、指名手配された本名を明かして亡くなったことはとても印象深い出来事です。2作、映画が作られるほど駆り立てられるものがあるのでしょう。40年もの間、偽名で生き続けてきた思いはどうだったのか。企業を爆破した事件とは何だったのか。映画を見て考えてみたいです。
コメンテータープロフィール
角川書店(現KADOKAWA)で書籍編集、TBSドラマのウェブディレクター、映画や演劇のパンフレット編集などの経験を生かし、ドラマ、映画、演劇、アニメ、漫画など文化、芸術、娯楽に関する原稿、ノベライズなどを手がける。日本ペンクラブ会員。 著書『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、ノベライズ『連続テレビ小説 なつぞら』『小説嵐電』『ちょっと思い出しただけ』『大河ドラマ どうする家康』ほか、『堤幸彦 堤っ』『庵野秀明のフタリシバイ』『蜷川幸雄 身体的物語論』の企画構成、『宮村優子 アスカライソジ」構成などがある