橋本環奈の真骨頂 「おむすび」ひとり面接演技
表情や目・口元の動きのバリエーションがとても豊かな橋本環奈
朝ドラこと連続テレビ小説「おむすび」(NHK)第11週は週初めの第51回で、渡辺(緒形直人)の物語にひと区切りがついた。
ずっと閉じこもっていた渡辺がはじめて見せた笑顔は、彼が少しだけ一歩踏み出そうとする兆しのようだった。
そのあと52回からは、結(橋本環奈)の就職活動がはじまる。
演出を担当した大野陽平さんは、今週の方向性は明るく楽しいコメディ中心と語る。
「他の週に比べて特別に大きな出来事や事件が起きるようなことはなく、ささやかな日常の出来事がいくつも散りばめられている週なので、ひとつひとつ登場人物の感情をしっかりと拾い、視聴者の方に届けられたら、と思いました」
そこでがぜん生きてくるのが橋本環奈さんのリアクション演技の巧みさであった。第52回の面接シーンの橋本さんのリアクションはとても楽しい。
「コメディは掛け合いのリアルさや間合いが大切だと思っていますので、演者さん同士の自然なやりとりの中で生まれた“表情”や“感情”をいかに切り取っていくかを大事にしました。その点、橋本さんは、面接のシーンでの緊張している時の表情をはじめとして、ちょっとした表情や目・口元の動きのバリエーションがとても豊かで、撮っていて感服するばかりでした。就職活動の様子を短く連続して伝える場面で、<緊張して敬語が変になってしまう>というシーンがありますが、通常ならば、その結の受け答えを聞いている面接官や他に参加している就活生のリアクションを間に挟むことがセオリーなのでしょうけれど、橋本さんの表情だけで、いま何が起こっているか十分表現できるものになっていました。編集作業において、撮影した素材を改めて見ていても、『このカットも使いたい』『この表情も捨てがたい』と思う時が何度もあり、改めて橋本環奈さんの魅力や実力を感じました」
橋本環奈劇場が楽しめた面接シーンであった。橋本さんは「銀魂」や「今日から俺は!!」など福田雄一監督作で思いきりはじけたコメディ演技を行って注目されてきた。
根本ノンジさんも、「おむすび」がはじまるときのインタビューでこう語っていた。
「橋本さんが、元気な米田結というキャラクターを、見事に演じてくださっている気がします。とりわけコメディのセンスに長けていて、第1週の本読みのとき、ツッコミセリフのトーンと間が完璧だと感じました。笑いの間を熟知されている橋本さんなら、笑いのセリフや面白いシーンをもっと入れても大丈夫だなと確信し、笑いの部分がどんどん増えていっています」
(「やっぱり第1週から橋本環奈さんを見たいよね」『おむすび』脚本家の素直な思い より)
おそらく、第52回は根本さんが確信を持って書いたものであろう。
沙智が志望しているまんぷく食品は「まんぷく」に出てきた会社
就活しているのは結だけではない。同じく第52回で沙智(山本舞香)が志望している企業が「まんぷく食品」。この社名は、「まんぷく」(18年度後期)の萬平(長谷川博己)の経営している会社名である。根本さんの台本に書きこんであったそうだ。
「『おむすび』の制作統括のひとりである真鍋斎は『まんぷく』の制作統括をしいた縁もあり、私たちも大切にしている作品です」と制作統括の宇佐川隆史チーフプロデューサー。しかも、ただの賑やかしではなく、2010年代前後の情勢も考えたうえでのことだとか。
「プロスポーツ選手を抱える企業が、選手の食事をサポートするための管理栄養士さんや栄養士さんを積極的に登用していく時期と重なります。その先駆けを描こうという意味合いもありました」
これからの結の社会人編が時代のリアリティーとコミカルな部分がどのように絡みあうのか期待がかかる。
連続テレビ小説「おむすび」
毎週月~土曜 午前 8時00分(総合)※土曜は一週間を振り返ります
/ 毎週月~金曜 午前 7時30分(NHKBS・BSP4K)
【作】 根本ノンジ
【主題歌】 B’z 「イルミネーション」
【語り】 リリー・フランキー
【音楽】 堤博明
【出演】 橋本環奈 仲里依紗 佐野勇斗 麻生久美子 宮崎美子 北村有起哉 松平健 ほか