見解次期トランプ政権とイランの関係を考えれば、イランはハメネイ師の本来の強硬姿勢を基調に、改革派ペゼシュキアン大統領による交渉重視の穏健姿勢を探る硬軟両方の対応になるだろう。イランが次期政権に核開発問題を含む協議をする意向を書簡で伝えたことは柔軟姿勢の表れであり、イランがトランプ氏の暗殺を試みないと書面で約束したという報道もあった。前政権が核合意から離脱した後、イランは兵器級に近い高濃縮ウランを既に大量に保有しているとされる。バイデン政権は核合意の復活を目指したがうまくいかなかった。トランプ氏は本来の対イラン強硬策を掲げつつも、バイデン政権が実現できなかった核問題の「ディール(取引)」を志向する可能性もある。トランプ氏の側近で政権入りが決まった起業家イーロン・マスク氏がイランの国連大使との密会が報じられるなど、イランと取引を探っている可能性も指摘され、双方が硬軟交えた腹の探り合いとなるだろう。
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コメンテータープロフィール
元朝日新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」などを現地取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランス。フリーになってベイルートのパレスチナ難民キャンプに通って取材したパレスチナ人のヒューマンストーリーを「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)として刊行。他に「中東の現場を歩く」(合同出版)、「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)、「戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む」(彩流社)など。◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com
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