【解説】イスラエルとヒズボラの「停戦合意」をバイデン大統領が発表 なぜ今?背景は? トランプ大統領就任前に事態沈静化狙ったか
FNNプライムオンライン
アメリカのバイデン大統領は26日、イスラエルとヒズボラの戦闘をめぐり、停戦合意したと発表しました。 停戦は日本時間午前11時に発効したということですが、その後、レバノンでは銃声や爆発音のような音が聞こえ、空には赤い光が確認できました。 バイデン大統領: イスラエルとレバノン政府が、イスラエルとヒズボラ間の壊滅的な戦闘を終結させるというアメリカの提案を受け入れたことをうれしく思う。 イスラエルとレバノンの親イラン武装組織ヒズボラは、2023年10月から戦闘を続け、アメリカが停戦を呼びかけていました。 バイデン氏は「停戦期間は60日間で、レバノン軍と治安部隊が統制を取り、イスラエル軍がレバノン南部から撤退することで、双方の民間人は安全に自宅に戻ることができる」と訴えました。 その一方で、「ヒズボラなどが合意を破った場合は、イスラエルには国際法にのっとった自衛の権利がある」と警告しています。 これに先立ち、イスラエルのネタニヤフ首相もテレビで演説し、ヒズボラの指導者を殺害し、多くのインフラを破壊するなど「数十年後退させた」として、成果を強調しました。 停戦前にもイスラエル軍がレバノンの首都ベイルートを空爆していて、今後、合意が着実に履行され、中東の緊張緩和につながるか注目されます。 このニュースについて、フジテレビ・立石修解説委員室長と見ていきます。 青井実キャスター: ーーイスラエルとレバノンの停戦が決まったわけですけど、なぜ今、停戦合意となったんでしょうか? フジテレビ・立石修解説委員室長: イスラエルはすでに、ヒズボラに壊滅的なダメージを与えていますし、逆にイスラエル側も兵士の休息ですとか、装備の補給の必要に迫られていた。 一方で、後ろ盾であるアメリカからも戦線の拡大に対する批判があって、これに対応する必要にも迫られていたんですね。 やはりここでポイントになってくるのが、トランプさんの大統領就任ということです。 バイデン大統領よりも、トランプさんの方がはるかにネタニヤフ首相に近い。 トランプさんが大統領になれば、ガザ地区の戦後処理なども有利に進められるという思惑があると思います。 これはトランプさんが大統領に就任する前に、いったん事態を鎮静化して、トランプさんにバトンを受け渡したいという狙いがあるかもしれません。 スペシャルキャスター パトリック・ハーランさん(パックン): ずっと停戦を呼びかけていましたし、今回は外交の成果だという評価もできるかなと思います。 割とオーソドックスな外交策のバイデン政権の方が、トランプ政権よりも交渉相手としてとか仲介役としてやりやすいという現地の声もあるかと思いますけど、僕は単純に、イスラエルの皆さんは、このレバノンとの戦争が長引かないように、実効支配しないように、という熱い国民の民意だったのかなと思います。 青井実キャスター: ーーただ、26日もイスラエルはレバノンの首都ベイルートを空爆したりしているわけで、本当に停戦に至るのでしょうか? フジテレビ・立石修解説委員室長: 武装組織ヒズボラの大きなスポンサーはイランですが、イランはトランプさんを相当警戒しているはずです。 最近の気になる動きとしては、イランの国連特使が今やトランプさんの側近であるイーロン・マスクさんと緊張緩和に向けて協議をしたと報じられていて、トランプ政権にイラン側が近づいている姿勢も垣間見えるんですよね。 今回の停戦期間は60日になりますが、これはトランプさんが大統領に就任するまでの期間とほぼ一致している。 この間に双方が合意を破るということは、若干考えにくいんですけど、ただ偶発的な戦闘などが起こるおそれはありますよね。 青井実キャスター: ーーガザ地区の停戦の可能性はどう見ますか? フジテレビ・立石修解説委員室長: むしろイスラエルは、ガザ地区に戦力を集中することができると。 この戦いを始めたハマスの方も、振り上げた拳を下ろすことは考えにくい。 現時点で停戦というものの兆しはありません。 ただ、トランプさんは「中東の混乱を終わらせる」とも宣言しています。 就任後に、イランやイスラエルを含めて、トランプさんがどういう話し合いの枠組みを持つかにかかってくると思います。 あと2カ月、バイデン大統領の動きにも注目が集まります。