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年末年始の海外旅行は『蚊』に要注意!?  熱帯地域では蚊による感染症のリスクがあります #専門家のまとめ

有吉立アース製薬(株)研究部で害虫飼育を担当
写真はイメージ(写真:イメージマート)

年末年始に海外旅行を計画している方は、蚊による感染症には十分注意が必要です。特にデング熱やマラリアは、蚊を媒介とする深刻な感染症であり、旅行先によってはリスクが高まります。地球温暖化の影響で、これらの感染症は世界中で増加傾向にあります。安全で楽しい旅行を楽しむためには、「蚊に刺されない」ことが最も重要です。「刺されない」ために虫よけ剤の使用や適切な服装を心掛けましょう。また、マラリア流行地域への渡航を予定している場合は、予防内服の検討もお勧めします。

ココがポイント

近年は地球温暖化による蚊の感染症(ジカ熱、チクングニア熱など)が増えている。特に「デング熱」に注意したい。
出典:日刊ゲンダイDIGITAL 2024/12/14(土)

コンゴ民主共和国で広がっているインフルエンザに似た症状の原因不明の病気について、保健省は「重度のマラリアだと判明した」
出典:TBS NEWS DIG Powered by JNN 2024/12/18(水)

海外でマラリアに感染し日本で診断される事例が年間数十例報告されています
出典:忽那賢志 2024/12/18(水)

虫よけ剤のニオイが蚊を寄せ付けないのではなく、その成分が蚊の感覚器官を混乱させ、人や動物を認識できなくさせる
出典:有吉立 2021/7/16(金)

エキスパートの補足・見解

蚊は「世界中で最も人を殺している生き物」とされ、マラリアなど蚊が媒介する感染症で毎年60~80万人が亡くなっています。旅行者にとっても、蚊を媒介とする感染症は大きなリスクです。デング熱は海外では主にネッタイシマカによって媒介され、都市部での感染が増加しています。高熱や頭痛を引き起こし、重症化することもあります。一方、マラリアはハマダラカが媒介し、重症化すると命に関わる危険性があります。

旅行中は「蚊に刺されない」ことが最も重要です。露出の少ない服装を心掛け、虫よけ剤を使用しましょう。虫よけ剤は蚊の感覚器官を混乱させることで刺されにくくしますが、塗りムラがあると効果が落ちます。スプレータイプの場合は、肌から15センチほど離してスプレーし、手でしっかり塗り広げてください。また、日焼け止めを使う場合は、虫よけ剤を後に塗ることで効果を保てます。

海外旅行にはミストタイプの虫よけ剤を持参するのがお勧めです。ただし、飛行機移動では成分や容器のサイズに注意が必要です。事前に航空会社の規定を確認しておくと安心です。これらの対策を徹底し、蚊による感染症のリスクを減らして、安全で楽しい旅行をお楽しみください。

アース製薬(株)研究部で害虫飼育を担当

兵庫県出身。都内の美術学校卒業後、 家具店店員、陶芸教室講師など虫とは全く関係のない職業に就いていたが、1998年に地元・赤穂のアース製薬に入社以来、害虫の飼育を担当している。しかし、現在も虫は好きではない。著書に「きらいになれない害虫図鑑」(幻冬舎)※記事は個人としての発信です。

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