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341本塁打の三塁手がトレード拒否権を行使!? 8年連続ポストシーズン進出の球団に行きたくない理由は

宇根夏樹ベースボール・ライター
ノーラン・アレナード(セントルイス・カーディナルス)Sep 24, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、ノーラン・アレナード(セントルイス・カーディナルス)には、トレードの噂が浮上している。一方、アレナードの契約には、全球団に対するトレード拒否権がついている。

 MLB.comのマーク・フェインサンド、ジョン・デントン、ブライアン・マクタガート、ジ・アスレティックのケイティー・ウー、チャンドラー・ロームによると、カーディナルスとヒューストン・アストロズは、アレナードのトレードについて話し合っているが、それを知らされたアレナードは、今のところ、アストロズに移る気はない、とカーディナルスに伝えたという。

 この数日前に、デントンは、アレナードがトレード拒否権を行使しない――トレードを受け入れる――6球団を報じた。そのなかに、アストロズは入っていない。

 ただ、アストロズは、ここ8シーズンともポストシーズンに進出している。それらのうち、半数の4度(2017年、2019年、2021~22年)はワールドシリーズまで進み、2017年と2022年はそこで優勝を飾った。アレナードは、ワールドシリーズどころか、その前のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズに出場したこともない。

 これまでのポストシーズン出場は4度。コロラド・ロッキーズ時代の2017~18年に、ロッキーズからカーディナルスへ移った1年目と2年目、2021~22年がそうだ。2017年のロッキーズはワイルドカード・ゲームで敗れ、翌年はワイルドカード・ゲームに勝ったものの、ディビジョン・シリーズでスウィープされた。2021~22年のカーディナルスは、ポストシーズンで計0勝3敗。それぞれ、ワイルドカード・ゲームとワイルドカード・シリーズで敗退した。

 今オフ、アストロズからは、三塁手のアレックス・ブレグマンがFAになった。また、アストロズは、トレードにより、外野手のカイル・タッカーをシカゴ・カブスへ放出した。タッカーと交換に獲得した3人には、三塁手のイサック・パレイデスが含まれているが、アストロズの得点は2024年より減少しかねない。

 夏のトレードで加入した菊池雄星も、FA市場に出て、アストロズと同地区のロサンゼルス・エンジェルスと3年6367万5000ドルの契約を交わした。新たな先発投手は加わっておらず、ジャスティン・バーランダーもFAになっている。

 ポジションに関しては、パレイデスが一塁に回れば、アレナードは三塁を守ることができる。その逆も然りだ。けれども、アレナードは、アストロズがポストシーズンに進む可能性は下がったと見ていて、地理的条件と合わせ、行きたくないと思っているのかもしれない。アレナードがトレード拒否権を行使しない6球団には、出身地に近いエンジェルスも含まれているという(「341本塁打の三塁手がトレード拒否権を行使しない6球団のなかには、9年連続負け越しのエンジェルスも」)。

 もっとも、アストロズへ移るつもりはないという報道には、「今のところ」という但し書きがついている。ここから、アストロズが行う補強によっては、その後、カーディナルスとアストロズの間でアレナードのトレードがまとまった場合、アレナードが移籍を受け入れることも考えられる。

 ちなみに、アレナードの341本塁打は、現役6位に位置する。その上の5人は、429本塁打のジャンカルロ・スタントン(ニューヨーク・ヤンキース)、378本塁打のマイク・トラウト(エンジェルス)、362本塁打のポール・ゴールドシュミット(現FA)、343本塁打のフレディ・フリーマン(ロサンゼルス・ドジャース)、342本塁打のマニー・マチャド(サンディエゴ・パドレス)だ。この5人中、ワールドシリーズ優勝を経験しているのは、2021年と2024年のフリーマンしかいない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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