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【Yahoo!ニュース 個人】11月の月間MVAとMVCが決定

(写真:アフロ)

■Yahoo!ニュース 個人、11月の「月間MVA(Most Valuable Article)」と「月間MVC(Most Valuable Comment)」が決定しました

社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選出している「月間MVA」。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」「文化の発展に寄与する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。あわせて、Yahoo!ニュース 公式コメンテーターによるニュースへの理解が深まるコメントとして「月間MVC」も選出しました。厳選4本の記事と3本のコメントを、筆者の受賞コメントとあわせてご紹介します。

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11月のMVA

名古屋のシンボル・ナナちゃん人形が消えた!実は深イイその真相(大竹敏之)

筆者による受賞コメント:「軽い読み物の中にもジャーナリズムの魂は宿る」。これは今年、WebエッセイでPEPジャーナリズム大賞オピニオン部門賞を受賞した、友人でもある名古屋在住の小説家・吉川トリコさんの受賞スピーチの一節です。同列に語るのはおこがましいですが、私が書くものも、あくまで軽い名古屋のエンタメ記事です。ナナちゃん人形のお引っ越しをレポートしたこの記事も、デカいマネキンの補修作業に地元のマスコミや市民が大騒ぎしている面白おかしさに、くすっと笑ってもらえればと書いたものです。しかし、実は背景には地域のシンボルを守ろうとする所有者の愛情がある。これを伝えることで、その秘めたる思いを後押しできればとも考えました。これからも、ジャーナリストではないエンタメライターなりのやり方で、読者の皆さんに楽しく読んでもらいつつ、自分たちが住む町にいくばくかでも寄与できる記事を書いていければと思っています。(大竹敏之

選出理由:名古屋駅前のシンボルでSNSでの人気も高い「ナナちゃん人形」。突然の“失そう事件”の真相について、丹念に調べた記事です。入念なボディーメンテナンスがされることだけでなく、前回15年前の失そうや、2027年のリニア開業後にうわさされている移転についても詳しく書かれています。筆者が撮影してきた歴代のナナちゃんの写真とともに、深く楽しめる記事です。

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甘利前幹事長小選挙区落選のショック 大物議員の「まさか」はなぜ起きたのか(大濱崎卓真)

筆者による受賞コメント:今年2度目となるMVA選出、誠にありがとうございました。現職自民党幹事長の小選挙区落選という結果は、永田町では驚きを持って迎えられましたが、選挙は昔から「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と言われます。選挙の結果には偶然など無く、甘利氏の小選挙区落選となった結果を、選挙プランナーとしての立場から解説することができ、多くの反響を得られたこと、大変嬉しく思います。(大濱崎卓真

選出理由:10月31日投開票の衆議院総選挙では、甘利明前幹事長や小沢一郎氏、辻元清美氏などいわゆる大物議員の小選挙区落選が目立ちました。この中で特に注目を集めた甘利氏落選について、解説した記事です。ただ単に政治のカネの問題があったからという通り一遍の説明にとどまらず、彼のポジションや選挙応援する公明党のスタンスなどに踏み込みわかりやすく解説しています。「選挙を科学する」をテーマとするオーサーの強みが存分に発揮された内容となっています。

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伊藤詩織さん中傷ツイート訴訟 勝訴判決に寄せて(志田陽子)

筆者による受賞コメント:伊藤詩織さんの裁判は、判決が出る前から注目していました。名誉毀損の法律上の論点については後日ゆっくり書くとして、まずは裁判を起こすことの大変さを踏まえ、その「アクション」の社会的意義について書こうと思いました。伊藤さんの記者会見は、仕事と重なってしまったためリアルタイムで見ることができず、研究者の書くものはジャーナリストの方々のようなフットワーク勝負はできないのが悩みではあります。その中で、研究者としての蓄積と視点から書いた言葉が評価されたことは、大変嬉しいです。当事者が裁判にたどり着けずに断念した事例は多分野にまたがってたくさんあるので、そういう人々にとっても光が見えてくるような動きが起きてほしいと思っていますし、私の論説がその方向で少しでも貢献できたらと願っています。(志田陽子

選出理由:ツイッターに投稿されたイラストなどで名誉を傷つけられたとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが投稿者に損害賠償などを求めた訴訟の判決について、その注目点と社会的意義を解説した記事です。「「人権」というものはすべて、それがなくて苦しんだ人々の歴史があったおかげでできあがってきた結晶のようなもの」であるという大きな視野に立ち、今回の判決がSNSの言論環境問題について門戸を開くものであること、誹謗中傷に苦しんで発言不能になっている被害者の側にも「表現の自由」があることなど、重要な視点をユーザーに提供してくれています。

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深刻化する部品不足~「納期が見えない」中小企業経営者の悲鳴(中村智彦)

筆者による受賞コメント:半導体だけではなく、広範な業界で部品や部材の不足、値上げが問題になっていると知り、製造業に携わる経営者の方々や関係者の方々にお話を伺ったのですが、かなり深刻な状況になっていることが理解されました。その上で、原稿を書いたのですが、多くの読者の方から、それぞれの業界で非常に深刻な問題になっているとご意見をいただいています。以前から取り上げさせていただいているように、製造業は日本の経済を支える屋台骨でありながら、なかなか問題や課題について注目されることが少ない現実があります。今後も、みなさんのお話を伺いながら、問題提起を継続していきたいと思います。(中村智彦

選出理由:コロナ禍のサプライチェーンの混乱により、大きな問題になりつつある製造業の部品不足について、経営者や産業支援担当者への取材を基に解説した記事。部品不足によって、中小製造業の経営に多大な影響が出ていることや、世界的にも製造業が恩恵を受けられていない実情を明らかにしています。こうした苦しい状況の中、日本国内の製造業の弱体化の懸念についても触れ、危機感がひしひしと伝わる内容になっています。一般的に関心が持たれにくい分野の問題について、現場の声を効果的に用いながら深刻さを伝えた、貴重な発信です。

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11月のMVC

『【速報】茨城・自転車の女子高生が大型トラックに轢かれ重体 巻き込み事故か(FNNプライムオンライン))』の記事へのコメント(熊谷宗徳)

筆者による受賞コメント:月間MVCに選出していただき大変光栄に思っております。大型トラックに左折巻き込み専用の警報装置が義務化されることは素晴らしい事故防止策だと思いますが、これから販売される車両が対象です。大型車は左側直近が死角となり、左折巻きこみ事故が発生してしまう可能性が高くなることを、自転車や歩行者からも大型車両のドライバー目線で、自分が見えていないかもしれないと注意してほしい願いをこめてコメントさせていただきました。これからも事故防止につながるコメントができるように心がけたいと思います。(熊谷宗徳

選出理由:茨城県で発生した自転車で通学途中の女子高生と大型トラックの交通事故に関する速報記事へのコメントです。大型トラックの運転席からは見えない死角となる部分の解説や報道と同様の巻き込み事故が多発していることから8t超の大型トラックを対象とした大型車の側面警報装置の義務化が予定されていることなど、記事内容を的確に補足したコメントです。

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『介護、保育士の賃金9千円賃上げ 政府、経済対策に明記へ(共同通信)』の記事へのコメント(今野晴貴)

筆者による受賞コメント:政府による事業主への補助金や助成金などは、労働政策としてよく見られるものですが、労働者に届きにくいのが現実です。コロナ禍での雇用調整助成金すら一番弱い立場の労働者には届いていません。政策だけではなく、労働者の権利行使や労使の交渉が大切だということを多くの方に知ってほしいと思い、今回のコメントを書きました。コメント後、多数の取材依頼があり反響の大きさを感じています。(今野晴貴

選出理由:政府が介護職や保育士の賃金を月額で約9千円引き上げる方針を固めたという速報記事へのコメントです。一報だけ見ると事態は改善するようにも見受けられる事象について、労働相談を日々受けている識者だからこそ感じる構造的な問題を指摘しています。徹底的に労働者支援する立場から課題に切り込んだ内容になっています。

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『「今は犬1頭と猫1匹だけ…」借金3億を背負って「動物王国」を閉園したムツゴロウさん(86)が辿り着いた“北海道のログハウス生活”「今は自分が生きていくだけでやっとです」(文春オンライン)』の記事へのコメント(新宅広二)

筆者による受賞コメント:この度はMVCの受賞を大変うれしく思います。"理科嫌い"が先進国でワースト1位という不名誉が続くわが国ですが、そういった現状改善を動物を通して取り組む畑正憲さんの功労と魅力について、僭越ながら一言添えずにはいられず筆を走らせました。今後もアクセスランキングに登場しないような、見すごされがちで一見地味なニュースの大切さや面白さを、皆さんと共有し、微力ながら何か意義深いものにできればと考えております。(新宅広二

選出理由:「ムツゴロウさん」の愛称で親しまれる畑正憲さんのインタビュー記事へのコメントです。畑正憲さんの動物行動学に関する知識の豊富さや専門用語を使わずに分かりやすく解説することで、さまざまな世代に動物の魅力を伝えた功績を改めてたたえています。動物行動学の専門家であり、畑正憲さんと交流のあった筆者だからこそのコメントです。

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