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安芸キャンプ“MVP”、打率.480でも「もっと打ちたかった」と板山選手《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
安芸キャンプを通して、平田監督から高評価を得た板山選手(左)と熊谷選手(右)。

 きょうは令和3年3月3日。3が3つも並んでいますねえ!1日にキャンプを打ち上げた阪神タイガースは、きょうから甲子園球場と鳴尾浜球場で練習がスタート。これから1軍のオープン戦、ファームの教育リーグや練習試合を経て、開幕へと向かっていきます。相手チームとの、またチーム内での戦いに挑む選手たちから目が離せない季節となりました。

 さて、きょうは遅ればせながら安芸キャンプのまとめをご紹介します。監督の総括や選手コメントの前に、安芸キャンプ中に行われた練習試合(計6試合)の個人成績を載せました。公式記録ではないので、参考程度にご覧いただければ幸いです。なおキャンプ最後の練習試合についてはこちらからどうぞ。→<安芸キャンプ打ち上げ!締めくくりに行われた2つの練習試合>

《練習試合 全選手成績》

◆捕手

【長坂】

  5試合 (先発5)

  16打数 4安打 2打点 打率.250

  三振2 四死球3 盗塁1 失策0

  二塁打1

【藤田】

  6試合 (先発3)

  17打数 2安打 2打点 打率.118

  三振2 四死球1 盗塁1 失策0

  二塁打1 犠飛1

【片山】

  3試合 (先発2)

  10打数 1安打 1打点 打率.100

  三振0 四死球0 盗塁1 失策0

  犠飛1

◆内野手

【熊谷】

  6試合 (先発6)

  22打数 9安打 2打点 打率.409

  三振5 四死球6 盗塁2 失策0

  二塁打2

【遠藤】

  6試合 (先発6)

  21打数 2安打 0打点 打率.095

  三振6 四死球5 盗塁1 失策1

  犠打2

【荒木】

  4試合 (先発3)

  7打数 1安打 2打点 打率.143

  三振0 四死球0 盗塁0 失策0

  犠飛1

【植田】

  6試合 (先発6)

  22打数 7安打 1打点 打率.318

  三振3 四死球5 盗塁3 失策1

  二塁打2 犠打1

【高寺】

  6試合 (先発4)

  14打数 7安打 0打点 打率.500

  三振4 四死球2 盗塁3 失策1

  二塁打1

◆外野手

【江越】

  6試合 (先発6)

  24打数 6安打 4打点 打率.250

  三振5 四死球4 盗塁5 失策1

  本塁打2 二塁打1

【島田】

  1試合 (先発1)

  3打数 1安打 0打点 打率.333

  三振0 四死球2 盗塁1 失策0

【板山】

  6試合 (先発6)

  25打数 12安打 10打点 打率.480

  三振2 四死球1 盗塁2 失策0

  三塁打1 二塁打4 犠飛1

【俊介】

  2試合 (先発2)

  6打数 1安打 1打点 打率.167

  三振0 四死球1 盗塁1 失策0

【奥山】

  6試合 (先発3)

  17打数 3安打 2打点 打率.176

  三振4 四死球2 盗塁1 失策0

◆投手

【岩田稔】

  1試合 (先発1)

  1回 失点0 防御率0.00

  安打0 三振1 四球0 死球0

【浜地】

  3試合 (先発1)

  10回 失点0 防御率0.00

  安打3 三振6 四球1 死球1

【及川】

  3試合 (先発2)

  8回 失点3(自責2) 防御率2.25

  安打10 三振5 四球4 死球0

  本塁打1 暴投1

【尾仲】

  3試合 (先発0)

  4回 失点4(自責4) 防御率9.00

  安打7 三振7 四球4 死球0

  本塁打1 暴投3

【守屋】

  3試合 (先発0)

  4回 失点1(自責1) 防御率2.25

  安打4 三振2 四球1 死球0

【小林】

  2試合 (先発1)

  5回 失点0 防御率0.00

  安打3 三振3 四球2 死球1

  暴投1

【望月】

  2試合 (先発1)

  3回 失点1(自責0) 防御率0.00

  安打0 三振1 四球1 死球0

【桑原】

  2試合(先発0)

  2回 失点0 防御率0.00

  安打2 三振1 四球1 死球0

【伊藤】

  2試合 (先発0)

  3回 失点0 防御率0.00

  安打2 三振5 四球0 死球0

【石井将】

  4試合 (先発0)

  5回 失点2(自責2) 防御率3.60

  安打5 三振5 四球2 死球1

【牧】

  4試合 (先発0)

  6回 失点5(自責5) 防御率7.50

  安打6 三振2 四球3 死球0

  本塁打2

キャンプ恒例、打ち上げ前の連帯歩調。ことしは特に大きな声が出ていたように思います!
キャンプ恒例、打ち上げ前の連帯歩調。ことしは特に大きな声が出ていたように思います!

「これからの発表会が楽しみだよ」

 では、平田監督の総括からご紹介しましょう。キャンプを無事に終え「こういう素晴らしい環境でできたということは、安芸市をはじめ皆さんに感謝だな。選手たちが野球に集中できる環境があるというのはありがたいことだよね」と感謝の言葉。結局、最後まで無観客でした。「ファンの皆さんは寂しい思いをされたと思うけど、このキャンプの成果を選手たちが甲子園や鳴尾浜で発表するのを楽しみにしていただきたい」

 中でも成長を感じた選手は?「全員が『あの安芸で1か月やったことが生きたな』というシーズンにしようや!というのと、安芸スタートをプラスに考えよう、と言ってキャンプインしたけど、非常に選手たちの意気込みを感じた。板山や熊谷というところは結果を出してくれているし、上に呼ばれた時は江越や植田海などはいいものを出せるようにしっかりやっている。ピッチャーも小林はよかったよ。浜地も前よりは力強くなったし、心配していた望月もよくなった」

 新人の高寺選手も。「おお~高寺、キャンプ完走だ!高校生ひとりだけで不安や緊張もあっただろうけど、これはもう素晴らしいわね。結果も残してくれて」。成長した部分は?「まず自主トレから、そういう体力も含めてしっかりやっていたのでリタイアすることもなくね。大したもんだよ。(バットを)振れるもん。振る力を持っているよ。ちょっと体重を心配したけど、1キロ減くらいで済んだし。76キロから75キロを維持してくれたんだよ」

 高寺選手はこのあとの教育リーグなどで、1軍から出場選手が来ても実戦経験を積ませていく?「まあ積ませたくなる選手だな。使ってみたくなる。だって結果を出しているもん。どういうものを出してくれるかなとワクワクさせる選手。楽しみだよ」。今後の宿題はありますか?「いやいや、経験していろいろ失敗すればええねん。この前も1つエラーしたり、見逃し三振したり。いろんな失敗をすると思うけど、経験だよ。そうやって大きくなっていってくれりゃいい」

 これから競争と朝の挨拶で選手に伝えた平田監督。ここでも「いよいよ、これからだよ!もう仕込みが終わった。大吟醸になるか二級酒で終わるか。これからどういう発表会をしてくれるか、楽しみだね」と、平田監督らしいたとえで締めくくりました。

円になって、これから一本締め。右から5人目が安芸の横山市長、その左が平田監督です。
円になって、これから一本締め。右から5人目が安芸の横山市長、その左が平田監督です。

安芸でやってよかったと言える年に

 板山選手は、まず28日に聞いたコメントを先に書いておきます。練習試合すべてでヒットを放ち、しかも三塁打1本、二塁打4本と長打も多かったですね。打率.480も、すごい数字!「目立たないと上がれないので、本当はもっともっと打ちたかったです。結果が出たことで、ある程度の手応えというのは自分の中でありますけど、勝負はこれからなので帰ってから継続して打てるように頑張ります」

 オフからやって結果につながった?「オフも去年1年も、その前の自主トレも含めて、やろうとしていることが少しずつできているのかなっていう感覚はありますけど、1軍のピッチャーとまだ対戦していないので。それを帰ってからもどんどん出していけるように、しっかり準備したい」

 平田監督が1軍に推薦したいと。「結果がすべての世界なので、結果を出せば上がれると思うし、上がって結果を残せば試合に出られると思う。ダメだったら他の人が入るだけなので、結果を出すだけです」

 そのために取り組んできたことは?「やっぱり1軍のピッチャーは真っすぐが速い。それが一番で、特に代打で行くことになれば、ビハインドの時はなおさら勝ちパターンのピッチャーが出てくると思うので、その真っすぐをまずセンターに打ち返すこと。それができれば、まあ甘い変化球も引っ張ってヒットにするというか仕掛けていけると思う」

 このキャンプでもやっていたんですね?「バッティングピッチャーに変化球を投げてもらったり、マシンの変化球を打つにしても、真っすぐを待って甘い球が来たっていうイメージで打つことなどに取り組んできました」

「結果を出すだけ。ダメだったら他の人が入るから、去るだけ」という板山選手の覚悟。
「結果を出すだけ。ダメだったら他の人が入るから、去るだけ」という板山選手の覚悟。

 そして最終日、キャンプを終えて「まずはバットを量振ることもできたし、内野も外野も両方捕ることができたし、練習量としては満足のいくキャンプでした」と回顧する板山選手。バットを振る量は例年と比べて増えた?「例年よりも増えたと思いますし、質というか強さであったり技術面でもそうですけど、1球1球に魂を込めて1スイングでも無駄にしないようにという思いでやったので、その点でもよかった」

 平田監督は高く評価していました。「これからなので。特に思うことはないですけど、シーズンで結果を残して、安芸でやってきてよかったっていう1年間にできればなと思います」

 開幕1軍は目標?「そうですね。開幕1軍っていうのはまだ一度もないので。それがすべてではないですけど、やっぱり1年間1軍で必要とされる選手にならなきゃいけないですし、ならなかったら去るだけなので。そこは頑張っていきたいです」。1軍で結果を残してナンボ?「そうですね。それに尽きると思います」

「キャンプだけよかったでは意味がない」

 次は、やはり平田監督が名前を挙げた熊谷選手です。熊谷選手は最終日と、28日の試合後にも話を聞きましたので、文章を合わせて書かせていただきます。

 実のあるキャンプができた?「そうですね。練習する時間も結構ありましたし、いい練習ができたのでよかったです」。平田監督がMVPというか、このキャンプで印象に残ったと。実戦の結果が出て、実りのある1か月間だった?「そうですね。しっかり振り込めたのもよかったし、それを実戦の中で試せたというか、結果につながったので、それがすごくよかったと思います」

 5試合でヒットを放ち、打率.409という結果。最後の試合はノーヒットだったとはいえ、外野フライもいい当たりでした。「バッティングは1つの課題だったので、こういう形で終われたことはよかったですね。去年もですけど、インサイドアウトを意識しながらセンター中心に打っていくことをやって、それが実戦の中でできたのは収穫でした」

 フォームなどは特に変えず?「いや、打ち方自体も変えています。去年は普通のスタンスで真っすぐ構えて打っていたけど、ことしはちょっとオープンにして、あまり左肩がキャッチャー側へ入りすぎないように」

 それがいい感じにはまった?「そうですね。ボールも両目で見やすくなりましたし、肩が入りすぎないってことでインサイドアウトもしやすくなりました。あとはちょっと早くなった時に凡打が増えるんで、そこはちょっと修正していきたいなと思います」

 取り組んだのは誰かのアドバイスで?「いや、日高コーチと平野コーチと話し合いながら『ちょっとゆとりを持って』とか『もう少しこうした方がいいんじゃないか』とか教えてもらったので、どれが一番いいのかというのをバッティング(練習)で探り探りやっていました。だから最初の方はシートバッティングでも、なかなかタイミングが取れないところもあったんですけど、練習していくうちにだんだん身になってきました。感じがよくなったのは実戦が始まったころからですね」

熊谷選手は白いマスコットバットを手に、これからティー打撃です。
熊谷選手は白いマスコットバットを手に、これからティー打撃です。

 今キャンプではマスコットバットで打撃練習をしていた熊谷選手。その理由は?「やっぱり軽いバットだと強く振れるんですけど、ちょっと重くなった時に振り負けているというのもあったし、速いボールに対してどういったアプローチをしていけばいいかっていうのを考えて。だからマスコットで強く振るためには、バットの出し方をどうすればいいのかというのも、すごく身になったし、試合で速いボールに対して打ち負けなくなったので、よかったかなと思います」

 それは去年の1軍出場を経て感じたことがあったから?「そうですね。やっぱり1軍で去年出て、速いピッチャーに対して振り負けたりフライになったりというのが結構あったので、どうやったらいいかを考えて。キャンプでは、ちょっと重いバットで強く振るために試行錯誤しながら取り組んでいました」

 マスコットバットはどれくらいの重さ?「僕は普通のバットが870グラムとか880ぐらいですけど、マスコットバットは930とか940ぐらいにしています」

 これからは1軍で結果を出すことだと平田監督も話していました。「まずキャンプで1軍に上がるためのアピールはできたと思うんですけど、シーズンを目の前にして1軍の枠を争っていく、ここからが本当に大切な勝負。キャンプでやってきたことをシーズンに入ってもやっていかないといけないので、しっかり振り込みは忘れずに」

 ところで、今キャンプでもあちこち守りましたねえ。セカンド、ショート、サードと外野全部。「守備は永遠の課題なので」。永遠ですか!「僕は守りから、守備や走塁から入っていって、その中で1打席1打席いい結果を出すために考えながら打っています。オープン戦に呼ばれるよう、鳴尾浜へ帰ってもしっかりやらないと。キャンプだけよかったでは何も意味がないと思うので、キャンプでやったことを継続してやっていきたいです」

反省のあとは前を向く!

 今度は2年目の藤田選手です。28日の最終戦を振り返り「悪いところもありましたけど、いいところもあったので前向きにとらえて、悪かったところはしっかり反省して次につなげていけたらと思います」というコメント。7回の2暴投に「点は取られていませんが、自分が悪いところはいっぱい。途中出場で入り方が難しいのはありますけど、スタメンと同じ気持ちでやっていくことが大事ですね」と反省の弁。

キャンプ最終日も山田コーチとゴロ捕球の練習。2年目で少しだけゆとりも出てきた藤田選手です。
キャンプ最終日も山田コーチとゴロ捕球の練習。2年目で少しだけゆとりも出てきた藤田選手です。

 ただ、ことしはメンタル部分で成長したと、山田バッテリーコーチは言います。この件は後日、こぼれ話でご紹介しましょう。メンタル面はバッティングにも好影響で、28日は8回のチャンスに2点タイムリー!「守備でミスもしましたけど、切り替えられたからこそ打てたかなと思います。去年の自分やったら、引きずったままバッターボックスへ行っちゃっていました。そこはしっかり直せているので、いいかなと思います」

 では、自身2年目のキャンプを振り返ってください。「去年はやっぱり初めてのキャンプで、右も左もわからないまま練習していたり、なんか余裕がなかったんですけど、今年は大きなケガもなく1か月間を乗り切れたことがよかったと思います。ケガをしたら練習できない、それが一番ダメなので。ことしはケガせず終われたことが一番の収穫で、その中で得られるものがいっぱいあって充実した、いいキャンプでしたね」

 片山選手が2月21日の三菱自動車倉敷戦で右手有鈎骨を骨折し、翌日に帰阪。長坂選手も同じ試合で右足首を捻挫して、23日の西武戦は藤田選手が1試合フルでマスクをかぶっています。「自分しかキャッチャーがいなかったですからね」。かなりプレッシャーがあったのでは?「でも、それも巡ってきたチャンスなので」。いいこと言いますねえ。ピンチはチャンス!これからも前向き思考でいきましょう。

「ちょっと迷子になっていた」

 21日の練習試合で2イニングを投げて、27日が2試合目の登板だった伊藤投手。今回は1イニングでした。「前回よりは真っすぐがよかったかなと思います。徐々に、って感じですかね」。いろんな球も投げて?「そうですね、試合で試さないといけないので」

2月14日のシート打撃に登板した伊藤投手。最後の打者に四球で苦笑い?
2月14日のシート打撃に登板した伊藤投手。最後の打者に四球で苦笑い?

 キャンプを振り返ってどうですか?「体重移動とか、いろいろ試行錯誤しながらやっていたんですけど、あんまりしっくりこなかった時期もあって。でも最後の試合はいい感じで投げられたのはよかったと思いますね」

 しっくりこなかったのは?「試しすぎて迷子になっていました(笑)。それで、意識する部分を変えたんです。変えたと言っても、やっていることは同じなんですが、意識の仕方を変えました」。迷いながらも無事に戻ってきて、最後はいい感じとのこと、それは何よりでした。「そうですね」

見えているビジョンに向かって

 守屋投手は今キャンプで3試合に登板しました。最後の28日はいきなり二塁打を許すも後続を断って無失点。「まあまあです。よくはないでしょう。よくはなかったです。3試合のうちなら春野(2月23日の西武戦)が一番よかったかなと思います」。確かに、23日は1奪三振の三者凡退でしたね。

捕球練習中の守屋投手。昨年は右肩痛で働けなかった分、ことしは1軍の優勝に貢献したい!と言います。
捕球練習中の守屋投手。昨年は右肩痛で働けなかった分、ことしは1軍の優勝に貢献したい!と言います。

 「ただ、春野の時は変化球が全然曲がらなかったり落ちなかったりしたので、それを言うと今回は、まあ変化球でしっかり思った変化ができた球が多かったから、そこはよかったですけど。でも真っすぐが今ひとつだったので」。二塁打は真っすぐ?「真っすぐです。あれも高さが悪かった」

 その部分が修正点に?「そうですね。まだ指にかかっているボールが少ないので。確率をどんどん上げていかないと1軍ではちょっと厳しいというか、しんどくなるんじゃないかなという感じですね」

 キャンプを振り返って「日々の練習に後悔はないので、そこは充実したキャンプになったんですけど、思ったより仕上がり具合が…って感じで。まあ疲れもあると思う。疲れが抜けてきてどうなのかというのもまだわからないですし。これからどうしようというビジョンはあるので、そのビジョン通りいけるようにしていきます」

 ビジョンとは?「難しいですね、言うのは。フォームでどう使ってとか、どういう意識をしてとか、これができたら自分の思っているラインにボールを入れられるとか」。なるほど、技術的なことですね。素人の私にはここまでが限界かも。ありがとうございました!

力がついてきたなという実感

 2年目の及川投手はキャンプでの収穫を「(最後の登板となった)28日は、ちょっと感覚がよくなかったというのはありますが、その中でも3試合とも結果的にはまあいいピッチングだったのかなという感じになっているので、ずっと前からの課題である“調子の波を作らない”という意味では、いいピッチングができたと思っています」とコメント。

 キャンプを振り返って「自主トレからずっと“ケガするぎりぎりを攻める”というか、そういうことを意識してやってきたんですけど、すごく体が疲れている中でピッチングもゲームも意外と投げられました。力がついてきたなというのは本当に実感している」という及川投手です。

ノックで両手を上げる及川投手です。将来は西純投手と左右のエースに!
ノックで両手を上げる及川投手です。将来は西純投手と左右のエースに!

 宜野座組ともまた顔を合わせ、今頃はバチバチと火花が飛び散っているかもしれませんね。「ここからオープン戦に入って競争になる中で、結果と自分の持っている力を出しながら、もっと伸ばしていきたい」と話していました。その伸びしろが、もうまぶしいくらい!

 最後は、一層まぶしいルーキーズに締めくくってもらいましょう。

締めは安芸のルーキートリオ

 ますドラフト5位・村上投手(東洋大)です。キャンプを終えての感想を。 「1か月間も違うところで練習したことはなかったですし、ケガなく充実した1か月を送れたのでよかったと思います」。成長できたところは?「ケガから段々状態も上がってきたので、次は3月から実戦で投げさせてもらえるので、次はそこに向けてやっていきたい」

 実戦で投げられるのはワクワクした感じ?「投げるのは大好きなので、打者との対戦は楽しみですし、プロのすごい打者と対戦できるのも楽しみにしています」。気持ちも高まってきている?「開幕は20日後ぐらいで自分は間に合わないかもしれないですけど、少しでもチームの戦力になれるように、一日でも早く1軍に上がって優勝できるようにやっていきたいです」

 締めとして、キャンプで印象に残っていることは?と聞かれた村上投手。「そうですね…。練習が疲れました(笑)。大学と全然違います。練習がキツイですし、全部が初めての体験だったので」とルーキーらしい返事です。

 平田監督が「素晴らしい変化球も持っているし、実戦向きだと思う。連係プレーもそつなくこなせるし。今月下旬が楽しみだよな」と評価する新人左腕。個人的には「ええ声やなあ」と思いました。ジャニーズWESTの重岡大毅くんみたいな。たとえがわかりにくいですか?すみません。

見事にキャンプを完走した18歳!

 ドラフト7位の高寺選手(上田西)は、初めてのキャンプを振り返って「最初の頃は結構疲れていたんですけど、後半はしっかり体力もついてきて、しっかり成長できたかなと思います」と述べました。やはり前半はきつかった?「ついて行くので精一杯でした」。ですよねえ。体が慣れてきたのはいつ頃?「中盤くらいです」。きっと体の張りも半端なかったでしょう。

真顔で一心不乱にバットを振っていたのですが、誰かに何か言われて思わず微笑む高寺選手。
真顔で一心不乱にバットを振っていたのですが、誰かに何か言われて思わず微笑む高寺選手。

 打撃の面で手応えはありましたか?「無駄な打席とかもあったので、そういう方をなくしていけるようにやっていきたい」。無駄な打席とは見逃し三振?「とかですね」。守備での手応えは?「まだまだなところがあるので。ずっと課題としています。練習すれば上手くなると思うのでしっかりやっていきたいです」。まだまだな部分は?「ボールの入り方とか、送球とかも含めて、すべてだと思います」

 西武のファームと2試合やって、プロのプレーを間近で見た印象を教えてください。「1軍でやっていた選手もいて、試合前の打撃練習とかを見ていて違うなと思った。早く自分もそういうレベルに近づけるようにやっていきたい」。印象に残った選手は?「山川選手です。試合前の打撃練習でも1人だけ違うなと思って」

 今後はどうアピールして行きたい?「しっかりアピールして、まずはファームで試合に出ることを目標にして、出た試合でしっかり結果を残していきたいです」。1軍にはどれくらいで行きたい?「考えたことはないですけど、早いに越したことはないので、できるだけ早く行けるようにやっていきたい」

 とにかく高寺選手は毎日のように取材対応してもらって、記者陣も申し訳ないやら、ありがたいやら、だったみたいです。今後ともよろしくお願いします!

ケガを治して、少ない枠を目指す

 そして育成ドラフト1位・岩田将投手(九産大)。初めてのキャンプを終えて「今まで学校と併用した感じの練習で、野球に打ち込む1ヶ月間というのがあまり想像できなかったので、そういった意味でも初めての体験が結構多かったから、色々充実したキャンプになったかなと思います」という感想。昨年夏に左ひじの手術を受けたため、リハビリしながらのキャンプでした。

 体の状態はどうですか?「キャンプに入る前よりはよくなってるし、投げられる距離も長くなってきて、確実に強い球も投げられてきてるので、いい形でキャンプを終えられたかなと思います」

 印象に残ったことや新たな発見はあった?「やっぱり、西武との練習試合です。間近でプロの選手の試合を見ることがあまりなかったので。レベル高いなと思いましたし、自分の中でいい発見もあったりと、いい形で試合も見られたのが一番印象に残っています」

先頭の4人は左から2年目の藤田選手、遠藤選手、ルーキーの高寺選手、岩田将投手です。岩田将投手、なぜ後ろを見ているの?
先頭の4人は左から2年目の藤田選手、遠藤選手、ルーキーの高寺選手、岩田将投手です。岩田将投手、なぜ後ろを見ているの?

 石井将投手とボールの握りの話をしていましたね?「スライダーの握り。自分の方がサイド歴が長いので、色々切磋琢磨できるとことはして」。ほほ~なるほど、サイドスローでは先輩ですね。逆に石井将選手には「試合を見て自分も取り入れたいこととか出てくると思うので、そういったところを聞いていきたい」とのこと。

 最後に、今後への意気込みを。「まずはケガを完璧に治すことを第一に考えて、そこから支配下も枠が少ないですけど、食い込んでいけるように1つ1つの課題をクリアしていきたいです」

  <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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