【海からの重機陸揚げ動画も公開】被災地で活躍するTEC-FORCEを紹介しよう!
2024年1月1日に発生した、令和6年能登半島地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
被害を受けられた皆様の安全と、1日でも早く平穏な生活に戻られますことを心よりお祈り申し上げます。
大きな災害が発生した時に、現場で活躍する人たちをイメージしてみてください。
恐らく、消防隊・レスキュー隊・自衛隊などをイメージした方が多いはず。しかし、災害時に活躍してくれる方達はまだ存在しており、「TEC-FORCE」(緊急災害対策派遣隊)もその1つです。
今回は、被災地支援を行うエキスパート集団「TEC-FORCE」を紹介しましょう。
記事の最後には被災地にて、海から重機を陸揚げする動画も公開していますので、ぜひご覧ください。
TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)は、約1万6,000名以上が登録
国土交通省に設置された「緊急災害対策派遣隊」を、TEC-FORCEと呼んでいます。
2008年(平成20年)4月に大規模自然災害への備えとして、迅速に地方公共団体等への支援が行えるよう創設。
TEC-FORCEは、大規模な自然災害等に際して、被災自治体が行う被災状況の迅速な把握、被害の拡大の防止、被災地の早期復旧等に対する技術的な支援を、円滑かつ迅速に実施することを目的として行動します。
国土交通本省の災害対策本部長等の指揮命令のもと、全国の地方整備局等の職員が予め指名されており、2023年4月時点で約16,186名が隊員として登録されています。
どちらかと言うと「縁の下の力持ち」的存在!
TEC-FORCEの存在は、現場では目立っていません。災害の救助現場ではTEC-FORCEは裏方に徹しています。
混乱する災害現場で必要なのは、避難所運営のサポートや被害の拡大防止、二次災害の防止も重要な役割となり、TEC-FORCEはこれらの役割を担っています。
そのため、メディアにはあまり取り上げられないので、存在自体を知らない方も多いでしょう。
TEC-FORCEはリエゾン活動でリアルな情報を収集する
次のような活動をリエゾンと呼んでおり、TEC-FORCEではリエゾン派遣人数が多く、被災した自治体支援につながっています。
被害状況の全容把握と早期復旧のサポートが主な役割
TEC-FORCEは被災地が一早く復興期に入れるよう、被害状況の全容を把握し早期復旧をサポートします。
例えば、2021年7月15日に起きた熱海市逢初川(あいぞめがわ)の土砂災害では、砂防班が現地調査を行い被災状況調査結果をとりまとめ、熱海市及び熱海土木事務所へ説明し、報告書として提出しています。
災害時には被災地をかかえる自治体では、マンパワーがどうしても不足してしまいます。そこで、TEC-FORCEが派遣されて行政のサポートを提供。
その力は被災者の方達の目には、直接触れることはないかも知れません。ですが、被災地のために活動しているのは間違いないのです。
近年でのTEC-FORCEの派遣回数は、令和元年が13回と最も多く、派遣延べ人数は35,782人に達しています。
令和2年はそれよりは落ち着いた状態で派遣回数7回、派遣延べ人数は12,630人でした。令和2年の派遣で最も多い災害は、7月の各地で起きた豪雨によるもので、この災害で10,606人が派遣されています。
2023年5月に石川県能登地方に派遣されていた!
実は2023年(令和5年)5月5日に発生した、石川県能登地方を震源とするマグニチュード6.5(最大震度6強)の地震時にも、石川県珠洲市、能登町、輪島市とホットラインを構築。
現地に最大34人が派遣されています。この時の総派遣人数は145人・日、災害用機器は9台・日投入されていました。
- 断水となった地域への飲料水の提供や資材調達要請に応えた物資支援を提供
- 被災状況調査では道路、橋梁、河川、砂防、港湾の調査を実施
- 防災ヘリ、Car-SATによる広域調査を実施
- 自治体からの要請により建築物(住宅)の応急危険度判定を実施
- 災害対策用機械(衛星通信車、照明車)を派遣
- 土砂崩れにより被害を受けた箇所の監視支援を実施
当時もこのような活動を、TEC-FORCEで行っています。まさか、この時の隊員たちも約半年後に被災地支援として、再度同じ場所を訪れるとは夢にも思わなかったでしょう。
当時のTEC-FORCEによる活動内容
2023年5月当時には、主に次のような活動が報告されています。
令和6年能登半島地震では既に1,000人以上が派遣
今回の能登半島地震では4県8市4町へ、1月22日時点で既に1,000人以上の隊員が派遣されています。
災害対策本部をTEC-FORCE総合指令部に設置し、現地のリエゾン活動と物資支援、被災状況調査等の自治体支援を連携して実施しています。
TEC-FORCEだけでなくDMATや日本赤十字社の職員・警察官・自衛官・消防隊員・各自治体からの応援職員など、報道されることなく粛々と被災者の方のために活動している方たちには頭が下がります。
TEC-FORCEの活動写真
能登半島地震におけるリエゾンの具体的な活動事例
この度の能登半島地震では発災から2日後の1月3日から、次のような活動を行っています。
- 1/4 珠洲市に仮設トイレを設置
- 1/5 穴水町の支援物資集配所に発動発電機を設置
- 1/6 能登町に給水車を派遣し飲料水を提供開始
- 1/7 輪島市に国土交通省が所有する照明車を電源車として支援
- 1/8 穴水町で市役所庁舎敷きの段差とクラックを補修
- 1/11 奥能登3市町の道路補修に着手
いずれも現地のリエゾン情報から実動部隊が活動を実施しています。リエゾンが現地に入り「現時点で何が不足し、何が必要か」とのリアルな情報取集を行うことで、最も必要な支援を確実に行える重要な役割を担っています。
被災地への重機搬入と大谷トンネル崩落状況調査の動画
最後に、TEC-FORCEの公式サイトが紹介している活動状況動画から、海上から資機材を搬入する動画と、国道249号大谷トンネルの崩落状況を調査している動画を紹介しておきましょう。