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炎上を恐れず、意見を言い切れ。サッカーは対立軸があってこそ発展する

杉山茂樹スポーツライター

バルサ好きと言いながら、一方で「いくらよいサッカーをしても、勝たなければ意味がない」と言い出す人。つまり、勝つチームが好きな人。そうしたタイプは、「勝利と娯楽性をクルマの両輪のように目指す」を哲学、理念に掲げるバルサの、どこに魅力を感じているのかーーとは、クラブW杯決勝戦の後に書いたある原稿の中身だが、サッカー界にせっかく存在する対立軸と上手く関われず、議論の幅を深められないままでいるのが日本の実態だ。

哲学を全面に押し出すクラブはJリーグには存在しない。他のスポーツでもお目に掛かることができない。バルサは日本人にとって異物。その特殊性に日本はまだ迫ることができていない。「いくらよいサッカーをしても、勝たなければ意味がない」と「勝利と娯楽性をクルマの両輪のように目指す」を、対立関係に持ち込めずにいる。

原発再稼働、安保法案など、巷で湧き起こっている対立関係とは別種のモノ。人の生き死は関わっていない。信条。主義。イズム。ちなみに僕がその辺りにこだわり始めたのは、クライフに行ったインタビューがきっかけだった。先述したクルマの両輪の話。さらには「勝利は少々汚くてもいいが、敗れる時は美しく」も、思い出深い。何を隠そう僕は、人に感化されにくい質なのだが、これだけは特別。クライフは「趣味の問題だけれどね」と、軽く一言を添え、話が重くならないようにおどけて見せたが、僕には、なるほど! と、瞬間、視界がパッと開けたような新鮮味溢れる言葉に聞こえた。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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