受刑者死亡の池袋暴走 教訓と今後の課題 #専門家のまとめ
池袋暴走事故で禁錮5年の実刑判決を受けて服役中だった受刑者の男性が老衰により死亡しました。93歳でした。ネット上では「高齢者の運転は危険であり、免許返納を促すなど制度改革が必要だ」といった意見が示される一方、「高齢者にも移動手段が必要であり、自動運転などの技術革新や都市計画の見直しで問題解決を図るべきだ」という声も上がっています。教訓と今後の課題について、理解の参考となる記事をまとめました。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
この事件では、遺族に対する殺害予告や筋違いの誹謗中傷も相次ぎました。高齢の受刑者に高額な賠償金を支払わせるのは不当だといった内容でしたが、メディアの報じ方にも誤解を招く原因がありました。
遺族は賠償金めあてではなく、男性が車両の欠陥を主張していたことから、事故の原因究明と再発防止のために提訴に至っていたからです。しかも、裁判所は保険会社にも支払いを命じていましたし、保険会社が全額支払う契約であり、男性の負担などありませんでした。
しかし、提訴の経緯まで深堀りして報じたメディアは乏しく、あたかも男性だけが支払いを命じられたかのような報道が大半でした。このあたりについては、もう少し丁寧に報じる必要があったと思います。
一方で、事故後の加害者側の対応がいかにその後の展開を大きく左右するかという点も浮き彫りになりました。男性は服役するようになってから率直に過失を認め、遺族に真摯な謝罪の言葉を述べるようになりました。もし男性が初めからこうした態度だったなら、少しは遺族の処罰感情も和らいだことでしょう。男性に対する社会的なバッシングもはるかに少なかったのではないでしょうか。(了)