少年少女「相次ぐ見せしめ」の舞台裏…北朝鮮に秘密の思想統制法
北朝鮮は2020年9月25日、最高人民会議の常任委員会政令で「未成年犯罪防止法」を採択した。しかし、この会議の開催や法律については、公式な発表はいっさいなかった。
韓国デイリーNK編集部はこの度、その全文の入手に成功した。
この法律は、韓国など外部の文化に晒され続ける北朝鮮の未成年を「守る」という目的で制定されたが、北朝鮮の代表的な思想統制法である「反動思想文化排撃法」より3カ月前に制定された点で注目される。
(参考記事:14歳少年の「運命の5分間」…北朝鮮で見せしめの刑)
デイリーNK ANDセンターのファン・ヒョヌク主任研究員は、「通常、全国民を対象とした法律が先に制定され、その後段階的に下位法に拡大されるが、未成年者を対象とした法律が反動思想文化排撃法より先に制定されたのは異例だ」と述べた。
この事実から読み取れるのは、北朝鮮当局の近年の取り締まりが、青少年を主要な標的にしてきた可能性だ。韓流コンテンツを視聴するなどした未成年に対する過酷な刑罰や、「見せしめ映像」公開などのニュースが相次ぎ伝えられ、諸外国の人々に衝撃を与えているが、それらはそもそも予定された行為だったのかもしれない。
デイリーNKが入手した全文によると、未成年犯罪防止法は18条からなり、第9条は未成年者がしてはならない行為として、▲不純出版物・宣伝物の製作、保管、視聴、流布▲南朝鮮(韓国)の言葉遣いを真似る行為▲風変わりな服装と身だしなみ▲賭博▲不良行動▲迷信行為▲タバコ及び酒、ビール摂取▲凶器所持などを挙げている。
北朝鮮の民法は14歳未満に対して刑事責任を問わないように規定している。したがって、この法律で定義した「未成年者」は14歳以下の者を対象にしていると思われる。
そのため、法律は未成年者に対する処罰よりも、遵法教育を強化し、彼らが犯罪や違法行為に巻き込まれないように予防することに焦点を当てている。
一方、同法第18条には、民事・刑事上の処罰が不可能な14歳未満の未成年者に代わって、「未成年の教育に責任がある者に、情状に応じて行政的又は刑事的な責任を負わせる」と明記されている。教師や親に未成年者をコントロールさせ、外部の思想や文化の影響を遮断するという意図がうかがえる。
すでに、韓流視聴で摘発された少年らの家族が、まるごと管理所(政治犯収容所)送りになった事例も伝えられている。
(参考記事:北朝鮮女性を追いつめる「太さ7センチ」の残虐行為)
最悪の人権侵害が横行する管理所では、成人といえども生き延びるのは難しい。同法と反動思想文化排撃法はセットになることで、思想統制を外れた一家全員を抹殺する効果を生んでいるのかもしれない。