後醍醐天皇ゆかりの秘境へ、バスで行く?神々の島・隠岐で路線バス・フェリー乗り回しの旅〈前編:島後編〉
☆隠岐の4つの島、路線バスで巡ってみよう!
日本最古の歴史書とも言われる「古事記」の”国生み神話”によると、イザナギ・イザナミが淡路島・四国に次いで3番目に生んだ島が隠岐諸島(隠伎之三子島(おきのみつごじま)なのだとか。
おおよそ180の島からなる隠岐諸島には、「島前」と呼ばれる知夫里島・中ノ島・西ノ島の3島と「島後(島後島)」の4つの有人島があり、約1・8万人の人々が居住しています。バス・フェリーを使って、それぞれの歴史を持つ4島それぞれの、島のさまざまな観光地・絶景を楽しめるスポット、普段から賑わう場所を巡ってみましょう。
※価格などの記事内容は2022年2月時点、取材内容は2021年11月時点のものです
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〈さて、隠岐にはどうやって行く?〉
隠岐諸島は本州側との直接距離はおおよそ70kmほど。船か飛行機で日本海を渡ります。
【海から隠岐入り!】
七類港・境港から出る「隠岐汽船」のフェリーなら、時間はかかるもののお財布に優しい!また高速船ならお値段は若干張るものの所要時間を一気に短縮できます。
また七類港発着なら松江市内からのシャトルバス(約40分・1050円)が便利。JRの駅と直結している境港発着なら米子・鳥取方面からの接続だけでなく、羽田・伊丹から航空便が発着する「米子鬼太郎空港」からの乗り継ぎもスムーズです。(電車で14分・190円)
【空から隠岐入り!】
島根県側は出雲空港(出雲縁結び空港)、近畿圏なら伊丹空港から隠岐空港(隠岐世界ジオパーク空港)への航路が、いずれも1日1往復発着しています。
出雲空港への連絡バスの料金・大まかな所要時間は以下の通り。
☆JR松江駅(約35分・1050円)
☆JR出雲市駅(約30分・720円)
なお出雲市側のバスは、国道9号の斐伊川の前後でしばしば渋滞にかかります。時間に余裕があれば、少し早め行動でも良いかもしれません。
航空便はいずれもJAL系列のJ-AIR(ジェイエアー)、JAC(日本エアコミューター)が担当し、溜まるマイルは伊丹発着なら165マイル、出雲発着なら57マイル。短時間で到着する航空路としては、なかなか乗り得ではないでしょうか。
ただし空港は島後の隠岐の島町にあり、島前に向かう場合は西郷港からフェリー・高速船への乗り換えが必要となります。
※島後→島前への移動&島前での様子は、別記事(近日公開)をご覧ください
それでは島後・隠岐島を、バスで巡ってみましょう!
☆路線バスで島後・隠岐の島町を東へ西へ!
島後・隠岐島は、島の端から端まで15Kmほど。現在は全域が1町(隠岐郡隠岐の島町)ですが、2004(平成16)年までは西郷町・布施村・四箇村・都万村の4町村に分かれていました。
その中でも旧・西郷町エリアは海の玄関口・西郷港を擁し、空港からも連絡バスで10分ほど。港の周辺には商店街と大きなドラッグストアがあり、名物の隠岐ちゃんぽん(あんかけ系が多い山陰では珍しい白湯系)を出すラーメン店「味太郎」の前にできる長い行列は、もはや風物詩なのだとか。
少し郊外には公団住宅・スーパー・病院もあり、これらのエリアを結ぶ「隠岐一畑交通」の循環系統バスは平日日中なら1時間2・3本。ほとんどの用事を循環線の範囲で済ますことができます。バスはかなりこまめに停車を繰り返しつつ、ゆっくりと進んでいきますが、たまたまなのか、パチンコ屋さんの前で降りる人が多いような・・・
そして島内の各方面に向かう路線バスの拠点は、市街地の北端にある「隠岐病院」の敷地内にあります。西郷の市街地から各地へ向かうには循環線から郊外路線への乗り換えが必要ですが、各方面へのバスの運賃は最大でも500円。隠岐病院での乗り換えの際は、乗り継ぎ券をもらうのをお忘れなく。
なお、隠岐病院のバス停は冷暖房がきっちり効いているので、待合室はいつも地元の方々で賑わっています。ここから、島後の最果てまで路線バスの旅に出ましょう。
〈隠岐・島後のバス旅①〉
地名の由来は“後醍醐天皇のお食事“?隠岐一畑交通・布施線
島内最長のバス路線「布施線」の終点・飯美(いいび)までは隠岐病院から約50分ほど。バス停の周囲には商店が1軒と廃校となった小学校、こぢんまりとした漁港が連なり、その街並みはとてもコンパクトです。なおこの地名は、隠岐に配流(流罪)となった後醍醐天皇が立ち寄った際に、食事がとてもおいしかったため「飯美」と名付けた、と言われています。
目の前を流れる飯美川の河口はバス停のすぐ前。透明な川を覗き込むと、海水と川の水が混ざり合っているのか、川を泳ぐボラやハゼがはっきりと見えます。この日はマナカレイが結構上流まで入り込んでいて、運転手さんも「ここまで登ってくるのは珍しいなぁ」と感心することしきりでした。
またこのバスは、旧・布施村エリアの大久(おおく)から飯美までの区間ではほとんど海沿いを進みます。しかし道路のほとんどは断崖絶壁の上や山の中腹が多く、急坂を駆け上がって高台を走り、またグネグネと降りて、また駆け上って・・・の繰り返し。座席から見渡す日本海も広くなったり、少し狭くなったり、バスはまるで動く展望台のようです。
なおこの路線にはいすゞ製を中心に中型の古参バス車両が運用につくことも多く、高い位置にある座席で景色を楽しみつつ、ガラゴロと響くエンジン音を楽しむこともできます。運転手さんによると、中型車両は平日朝に出番が多く、日中は小型車両(日野ポンチョ)がメインとのこと。
<隠岐・島後のバス旅①〉
土木遺産の“3世代トンネル”にもローソク岩にも行ける?隠岐一畑交通・五箇線
また観光を楽しむなら、島の北西部・福浦に向かう五箇線はいかがでしょうか。沿線にある赤崎岸壁・福浦岸壁は、そそり立った岩越しに見える夕陽がローソクのように見えるという「ローソク岩」への遊覧船が発車します。(どちらから出港するかは、予約後当日に決定する。3月中旬〜11月に運航)
ただし遊覧船の時刻は季節によって大きく変わるうえ、福浦から隠岐病院への最終便は16時前に出てしまうので、路線バスを利用するなら、現地宿泊かタクシー予約は必須です。
そしてもう一つ、「福浦トンネル入口」から10分ほど歩けば、明治初期に開通してから何度も掘り直されたという旧・福浦トンネルを間近で眺めることができます。それまで崖の中腹を徒歩で歩くしかなかった場所に、明治初期にハンマーやノミだけで小さなトンネルが掘られ、やがて馬車を通すために火薬を使用してトンネルを広げ、やがてバス乗り入れのために重機で拡張されるなど、それぞれの時代の土木技術を用いた「3代トンネル」とも呼ばれています。
なお現在のバスは、別の場所に掘り直された片側1車線の新しいトンネルを通過しています。かたやこのトンネルは旧道となって久しく、波の音や鳥の声、ざわめきが聞こえるばかりの旧道となっています。
歩いて旧道トンネルの中に入ると、火砕流が冷えて固まった岩をノミや重機で削った跡など、技術の推移をつぶさに観察できる土木遺産でもあり、入り口周辺の道路にはかつて幹線道路だった頃の標識などが朽ち果てて残っています。
ただ、2022年2月現在は台風被害の影響で立ち入り禁止、通り抜けができません。入り口に技術的な解説の看板が立っているので、“3世代トンネル“の‘雰囲気だけでも楽しんでいきましょう。
〈隠岐・島後のバス旅 他にもいろいろ〉
他にも旧・都万村エリアに向かう「都万線」は蛸木・津戸などの漁港をこまめに周り、船小屋や船だまりが続く漁港をのんびりと眺め流ことができます。また航空便の連絡バスで行ける「隠岐世界ジオパーク空港」は離発着便がじっくり眺められるだけでなく、ターミナル内の食堂「ライトハウス」のちゃんぽんも絶品です。
しかし島後・隠岐の島町は西郷町内以外のバスの本数が少なく、隠岐一畑交通のバス時刻表のページにも以下のような記述があります。
路線バスは本数が少なく最終便が早めの設定ですので、隠岐の島町内の移動はレンタカーのご利用もご検討ください。
隠岐一畑交通もレンタカーを運営しているので(バス会社のホームページなのに、1番左の目立つタブが「レンタカー」ってどういうこと・・・)スケジュールに応じたレンタルや、隠岐汽船での車の航送(普通車で18260円)などを検討するのも良いでしょう。
それでは、船で島後・西郷港をあとにして、島前に移動してみましょう。「島後編」「隠岐4島グルメ編」は別記事でどうぞ。
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〈了〉