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「虐待されて死にかけている猫」を救えない?動物愛護管理法の見直しを滝川クリステルさんらが訴える

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
『「そこが変だよ!犬猫裁判」 動物愛護管理法の見直しは5年に一度の今です』より

犬や猫などの愛護動物(※)を虐待したり捨てる(遺棄する)ことは、動物愛護管理法違反として罪に問われます。違反した人は、懲役や罰金に処せられます。このような法律があるので、愛護動物は虐待から守られていると思っていませんか。

しかし、現実の動物愛護管理法ではまだ不十分なのです。

本記事では、滝川クリステルさんの動物愛護活動の一貫で公開された『「そこが変だよ!犬猫裁判」 動物愛護管理法の見直しは5年に一度の今です』の動画をもとに、皆さんに知っていただきたいペットにまつわる法律の現状について見ていきましょう。

※愛護動物とは、牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひる、さらに、人が占有している動物で、哺乳類、鳥類、爬虫類に属するものを指します。

動物愛護管理法の現状がわかる「そこが変だよ! 犬猫裁判」

「そこが変だよ!犬猫裁判」動物愛護管理法の見直しは5年に一度の今です Christel Vie Ensemble Foundation

法律が改正されて、以前に比べると虐待に対する厳罰化は進んでいます。しかし、現行法では、虐待されている動物を確実に助け出し、保護することができないのです。

たとえば、虐待されて死にかけている猫を発見しても、飼い主の許可がなければ助け出せません。

それ以外に虐待された動物の命が守れない? 「一時保護」がない動物愛護法について考えるという記事にも書きましたが、警察が介入して犬や猫を虐待の証拠品とし押収できたとしても、捜査が終わって飼い主に返還を求められた場合は、再び虐待されるおそれが高くても飼い主のもとに返さなければならないのです。

人と同じではありませんが、いまや犬や猫は家族の一員といわれています。人の場合、親が「虐待ではなくしつけのひとつです。自分の子どもだから返してほしい」と訴えたとしても、虐待するとわかっている親のもとに子どもを返すとどうなるかを考えてください。その場合は、やはり子どもを親から放します。

その一方、犬や猫などは現行法では命あるものであっても、飼い主の所有物でモノ扱いなのです。そのため、飼い主のもとに戻されやすく、上述のような虐待があっても救えないのです。

こうした状況を解決するためには、虐待されている犬や猫などを行政がすばやく助け出すための「緊急一時保護制度」と、虐待した飼い主がこれから飼育できないようにする「所有禁止命令」が必要です。

滝川クリステルさんは、2014年より一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル(以下クリステル財団)を立ち上げ、「共に、生きる。」という想いをテーマに、人間と動物の命が共存・共生して、調和する社会の実現を目指し活動しています。

犬や猫といった動物虐待の問題は、実際の映像で見ると非常に悲惨なものになります。滝川さんは、多くの人の理解を促すために上記のような人形を使ったアニメーションの啓発動画を作りました。

この動画には、頭に包帯を巻き虐待され被害を受けた犬と、その飼い主の裁判の模様を短いアニメーションでまとめています。判決後に被害を受けた犬に待ち構える処遇は、どうなるのかをご覧になるとより現行法がわかり、衝撃的な結末です。

動物愛護の第一歩 今こそ話そうペットの法律

コロナ禍で、犬や猫などに癒やされた人が多いです。犬や猫などのことをもっと理解したい人もいます。

そのなかには、動物愛護のためになにかしたいと思っている人もいます。

実際問題として、ペット可の住宅には住んでいない人や、仕事が忙しくてペットを飼えない人などが、動物の生命の権利を守るためにできる支援策のひとつとして、ペットの法律を理解して行動するということも動物愛護の運動になるのです。

施行から5年をめどに見直し作業をするよう規定されている動物愛護管理法は、2025年の法改正をめざしています。

そのためにクリステル財団は「緊急一時保護」と虐待した飼い主の「所有権喪失」を求める署名活動を急いでいるというわけです。

ペットの法律を知ること、多くの人が署名に参加することで社会を変える力になり、次の法改正で動物を守るための法律に発展する可能性があります。

参考:一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブルのオンライン署名ページ

【この記事は、Yahoo!ニュース エキスパート オーサーが企画・執筆し、編集部のサポートを受けて公開されたものです。文責はオーサーにあります】

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は栄養療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医師さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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