ペットショップで購入時“健康トラブル”「系列の動物病院に連れていく」の落とし穴
文春オンラインでは、ペット購入時のペットの健康トラブルについて以下のように報じています。
男性が雄のロシアンブルーをペットショップで購入しました。その「健康診断書」には「耳(耳道内)」「心臓(聴診)」など13項目中12項目について「異常なし」とし、「陰睾」は「未確認」となっていたそうです。
ところが、近所の動物病院に連れて行くと検査をして漏斗胸であることがわかったそうです。
ペットショップの店長からは、「同じようなのでいいですよね。取り換えます」と言われたそうで、男性は納得がいかず、チェーンの経営者に謝罪を求めると、役員から電話で「裁判してもらって構いません」と告げたとのことです(文春オンラインより)。
ペットショップで購入後すぐに体調を崩すケース
ペットショップで子犬や子猫を購入後に体調を崩すケースがあり、飼い主はペットショップ系列の動物病院で診察を受けるか、別の病院にかかるかを選択する必要があります。
ペットショップ系列の動物病院に行くメリット
購入時にペット保険に加入していれば、多くの場合、一定の期間(多くは1カ月)に具合が悪くなっても治療費がかからないことが多いです。
動物の医療費は人の医療のような保険制度がないため、高額になりがちです。そのため、治療費が無料であるなら、ペットショップ系列の病院を選ぶ飼い主も多いでしょう。
ペットショップ系列の動物病院に行くデメリット
一方で、ペットショップ系列の動物病院にはいくつかのデメリットもあります。
たとえば、夜間に病気の子犬や子猫が無人のケージの中で1頭になり、夜間の細やかなケアが行き届かない場合があります。また、ペットショップでは犬や猫を「命ある存在」として扱う一方で「商品」としての側面も否めません。
高額な子犬や子猫であっても、他と同じ「命」として扱われるべきと筆者は考えます。
体調を崩した子犬や子猫に対し、ペットショップ系列の病院では「同じような子に取り換える」という対応が行われる場合があり、根本的な治療が十分でないこともあります。
たとえば、下痢をする子犬や子猫に対し「下痢パネル検査」※(約2万円)が行われず、下痢止めや補液だけで対処されるケースもあります。
※下痢パネル検査とは、下痢の原因となりうる病原体をまとめて検出する検査です。
アリスちゃんのケース
こうした対応に不満を感じ、ペットショップ系列の動物病院から他の病院に転院する飼い主も少なくありません。ペットの健康を第一に考え、きめ細やかなケアを求める場合、ペットショップ系列の病院には注意が必要な場合もあります。
飼い主が求めているのは「同じような子」ではなく、その子自身の命を救うことなのです。
アリスちゃんの飼い主であるOさんも、「こんな幼い子をひとりで入院させると言われたので、ペットショップ系列の動物病院に行くことをやめました」と言われて来院されました。
アリスちゃんは水鉄砲のような下痢をしていて、ほとんど動けない状態でした。
Oさんは前の犬のがん治療をしており、当院に来院されていました。Oさんはとてもきめ細やかに犬の世話をされる方で、前の犬ががんで天国へ旅立った経験もあって、アリスちゃんのことが心配でたまらなかったそうです。そこで、当院への来院を決められました。
当院で「下痢パネル検査」を行い、原因菌に合わせた抗生物質治療を行った結果、完治しました。子犬や子猫は体力がないため、適切な治療を施さないと命に関わることがあります。
一般的な下痢止めだけの治療に比べると医療費は高くなりましたが、下痢の原因を調べるともちろん完治も早くなるのです。
子犬や子猫は体力がないため、適切な治療を施さないと命に関わります。
ペットショップでの購入後、動物病院選びで注意すべきこと
ペットショップ系列の動物病院を利用すること自体が悪いわけではありませんが、多くの飼い主にとって購入した子犬や子猫は家族の一員です。
したがって、「同じような子で代替できる」という発想ではなく、目の前の子の命を守ることが重要です。
特に、購入後すぐに体調が悪化した場合は、別の病院で診てもらうことも検討するべきです。
子犬や子猫はまだ体力が十分でないことが多く、治療が遅れると命に関わる場合もあります。時間が重要であることを心に留め、少しでも異変を感じたら迅速に対応することが、健やかな成長につながります。