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【手帳の考え方】「デジタル全盛の時代なのにあえて手帳」?紙の記録媒体はデジタルとは違う種類のものです

舘神龍彦デジアナリスト・手帳評論家・歌手

 よくネット上のニュースに、「デジタル全盛なのにあえて手帳」という内容の物が出てきます。
 これってよく考えたらちょっとおかしいのではないか。
 今回はそういう内容の話です。

共通しているのは記録媒体であること

 パソコンやスマートフォンなどのデジタルツールと、手帳やノートの共通点は、記録媒体であることです。

 そして入力の方法や記録後のデータの扱いやすさなどが異なります。
 これについて論じると本が一冊書けるほどになりますが、ちょっとだけ。

 たとえば、デジタルツールの入力方法は、キーボード、音声など多彩です。位置情報をきっかけとしてアプリを起動させたり出来ます。

 また、とくにスマートフォンでは、カメラとアプリの各種機能の組み合わせで高度な機能を実現しています。

 これに対して、手帳やノートは、ほぼ必ずペンを使って記入します。スタンプやふせんなども使われますが、それらは直接の入力と言うよりは、補足的な役目です。

記入面が連続した冊子なのが、アナログツール

 また、記入面が連続していてめくる構造になっているのも、手帳やノートの特徴です。パソコンやスマートフォンでは、記入する面は、めくる構造にはなっていません。

 そうではなく、一つの面を開いたらそれは、事実上無限にスクロールするようになっています。いわば、ウィンドウの小さな窓を通して長い巻物を見ているような感じです。

 これに対して、ノートや手帳は、見開きの面そのものがすべてです。次のページにつながる内容の場合は、その旨をページに記します。

 また、見開きの面で情報を完結させることもあります。

まずアプリを起動しそれから入力モードに入るのがデジタル

 一部の例外的なスマートフォンやタブレットをのぞけば、デジタルツールにおいては、まずアプリを起動。それから入力に入ります。

 iPhoneでSiriを使う場合は、「Hey!Siri」と声をかけます。

 このように、常に使うのにワンテンポのアクションが必要なのがデジタルツールです。

紙はデジタルの下位互換ではない

 このように、手帳やノートと各種デジタルツールには、いろいろな違いがあります。 一つ言えるのは、紙はデジタルの下位互換ではないということです。
 どうも、世間には、あたかも紙のツールがデジタルの劣化版であるかのような意見の方が多いようです。

 ここで断言しておきます。それは誤解です。

 紙の記録媒体は、各種デジタルツールとはまったく違う物なのです。

 

デジアナリスト・手帳評論家・歌手

デジアナリスト・手帳評論家・歌手。著書『手帳と日本人』(NHK出版新書)は週刊誌の書評欄総ナメ。日経新聞「あとがきのあと」登場ほか大学受験の問題に2回出題。『凄いiPhone手帳術』(えい出版社)『システム手帳新入門!』(岩波書店)等著書多数。「マツコの知らない世界」(TBSテレビ)「HelloWorld」(J-WAVE)はじめテレビ・ラジオ出演多数。講演等も。手帳ユーザーを集めた「手帳オフ」を2007年から開催する等トレンドセッター的存在。手帳活用の基本をまとめた「手帳音頭」をYouTubeで公開中。認知症対策プロダクト「おぼえている手帳」は経産省オレンジイノベーションプロジェクト事業採択。

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