【日本の手帳の歴史】本日出演したInterFM「レコレール」で語った日本の手帳の歴史をおさらいします
本日、FM局InterFMの番組「レコレール」に出演しました。
そのときにかんたんに日本の手帳の歴史について触れました。
これをおさらいしておきたいと思います。
福沢諭吉に始まる
日本の手帳の歴史は福沢諭吉が欧州使節団でフランスに行ってパリから持ち帰ったものがその最初と言われています。これは写真を見る限りは普通の小型のノートです。
その後、大蔵省造幣局の懐中日記とか、軍隊手牒、また警察手帳のような、国の機関がその成員に配布するようなものが出てきます。
これを原型として、年玉手帳が生まれます。年玉手帳は、企業がその会社員に配るものです。一般的には社名が入っており、巻末の資料として本支店名一覧や社是社訓などがありました。このタイプのものは今もまだあります。
バブル崩壊に伴って市場拡大
そして平成前期のバブル崩壊により、この年玉手帳が大幅に減少。企業の経費削減のためです。そこで、市販の手帳の市場が拡大します。大手雑貨店、文具店に市販の手帳がたくさん並ぶようになったのは、このためでもあるのです。
コロナ禍とライフログ
やがて日本は、世界を覆うコロナ禍に見舞われます。2019年から2023年ぐらいまでの間で、人々の間にリモートワークは定着しました。そのことで、予定管理ツールとしての手帳は見直しを迫られました。遠隔地の他者と予定を同期するには、クラウド上にあるグループウェアやチャットツールの方が圧倒的に便利だからです。
ここに至って、手帳はもはや予定管理ツールとしての役割を、デジタルに譲るような印象があったのも事実です。ただし実態としては、たとえば日経WOMANの手帳特集号のアンケートなどを見る限りは、まだまだ手帳は使われている印象があります。
そしてこの2024年にテレビ番組の手帳特集に出てくるキーワードは、「ライフログ」です。これは以前も触れましたが、日常の食事や健康状態などを記録する用途が手帳の利用目的として提案されています。またそのための手帳も登場しているのです。
そのことで、手帳の売上は前年比を上回っているようです。
日本人の手帳好きには、年玉手帳が影響
出演中に話していて気がついたのですが、日本人はやはり手帳が好きなようです。やや減少したとは言え、ロフトなどの雑貨店にあれだけの種類の手帳があるのは、やはり好きであることを繁栄したものと言わざるを得ません。
そして、どうやら日本人が手帳好きなのは、実は、年玉手帳の存在も小さくないのかも知れません。社会人として会社に所属して働く。その必然的結果の1つとして、手帳を持つという意識が、しばらく前まではあったかも知れない。
そして、形も記入する内容も変わってしまったけれど、今も手帳と呼ばれるものが、多くの人に受け入れられているのは、こういう年玉手帳の存在が間接的にでも影響をしているのかもしれないと考えました。確かに現在手帳を使っている層には、年玉手帳は縁遠い存在かも知れません。ともあれ、ビジネスパーソンは手帳という意識を根付かせたのは年玉手帳と言えるかも知れません。
日本の手帳の歴史を語る上では、これ以外もシステム手帳とか、神社系手帳とか色々あるのですが、それは別の機会に触れられればと思います。