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ノート(252) 受刑者に対する職業訓練の重要性と問題点

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~釈前編(12)

受刑380/384日目(続)

再入所者の7割強が「無職」

 この日は2本目に「社会人としての心構え」というタイトルのVTR教材を視聴した。報告や連絡、相談といった職場の上司、同僚らとの円滑なコミュニケーションの方法のほか、あいさつの仕方、尊敬語や謙譲語、丁寧語といった言葉遣い、好印象を受ける身だしなみ、電話応対などの基本的なマナー、職場で何らかの問題が生じたときにどのように対処すればよいのかといったものだった。

 就職を控えた学生や入社直後の社会人1年生がオリエンテーションや研修の機会に見せられる動画と同じようなイメージのものだ。刑務所が「釈放前指導」に際してこうしたVTR教材を視聴させるのは、社会復帰後、就職した職場で円滑な人間関係を保ち、仕事が長続きするために必要な基本的スキルを習得させる狙いがあるものと思われた。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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