Yahoo!ニュース

政府、新成長戦略にカジノ合法化を明記

木曽崇国際カジノ研究所・所長

さて、当初は今月27日に閣議決定予定とされていた安倍政権の掲げる新・成長戦略ですが、昨日に繰り上げられ閣議決定が行なわれました。そして、その中に我が国のカジノ合法化と統合型リゾートの導入が無事盛り込まれましたことをご報告申し上げます。

「日本再興戦略」改訂2014  -未来への挑戦-

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/honbunJP.pdf

・ 統合型リゾート(IR)については、観光振興、地域振興、産業振興等に資することが期待される。他方、その前提となる犯罪防止・治安維持、青少年の健全育成、依存症防止等の観点から問題を生じさせないための制度上の措置の検討も必要なことから、IR推進法案(※)の状況やIRに関する国民的な議論を踏まえ、関係省庁において検討を進める。

※ IR推進法案:特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案

上記内容は、「世界を惹きつける地域資源で稼ぐ地域社会の実現」とされるテーマの中の「観光資源等のポテンシャルを活かし、世界の多くの人々を地域に呼び込む社会」の項目内で述べられているものです。我が国では昨年、長年の目標であった訪日外国人客数1000万人を達成し、観光振興に向けた次なるステージを迎えております。今回の新・成長戦略では、2020年の東京オリンピックの「先」を見据えた「2030年までに3000万人」という野心的ともいえる数値目標を改めて示しています。

また、ブルームバーグは昨日、安倍総理に対して行なった単独インタビューの中で、安倍総理が自民党総裁として次の臨時国会でのIR推進法案の成立を目指す考えを示したとの内容を報じています。

安倍自民総裁:カジノ含むIR法案、臨時国会で成立目指す

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N7MGJ96JIJVN01.html

安倍晋三首相は24日、ブルームバーグ・ニュースの単独インタビューで、カジノを含む特定複合観光施設(IR)を今後の日本の成長戦略の目玉として検討していく考えを表明した。自民党議員らが議員立法で国会に提出したIR推進法案についても、同党総裁として次の臨時国会での成立を目指す考えを示した。

安倍首相は5月30日にシンガポールのIRを視察したことに触れ、「観光振興や地域振興、産業振興に資することが大いに私は期待されると思った」と述べ、「日本の成長戦略の大きな目玉の1つになり得る」と指摘した。同時に青少年の健全育成、依存症対策、犯罪防止対策についても「しっかりと検討を進めていく」と述べた。[...]

上記インタビュー内では、日本の首相、与党自民党の総裁という双方の立場から、安倍総理による我が国のカジノ合法化と統合型リゾートの実現に向けた明確なコミットメントが示されており、これによっていよいよ我が国への統合型リゾートの導入は政府、議会の両面から精力的に進められる環境が揃ったといえます。

我々カジノ推進派としては「10余年の時を経てやっとここに至ったか…」という万感の思いではありますが、未だIR推進法案自体は衆院で継続審議となったままです。これで油断することなく、早期の法案成立を目指して、また一歩一歩確実に歩を進めて行きたいものです。また、反対派が主張している依存症や犯罪関連の懸念事項に対しては真摯に耳を傾け、最大の努力をもってその対策と不安の払拭にあたって行かなければなりません。

引続き頑張りましょう。

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

木曽崇の最近の記事