南海トラフ地震をいち早く観測する「N-net」沖合システムが7月1日から試験運用開始!
2024年1月29日に投稿した「太平洋の海底には地震や津波を観測する大規模な海底観測網があった!」記事の最後にお知らせした、『南海トラフ海底地震津波観測網:N-net』の沖合システムの整備が完了し、7月1日から試験運用が開始されました。
太平洋沖の海底観測網の空白地帯が埋まった!
これまで、太平洋沖の海底には地震観測網の「S-net」と「DONET」の2つのシステムにより、北海道沖から室戸岬沖までの海溝型地震の早期観測が可能でした。
しかし、南海トラフ沿いに起きる地震については、高知県沖から日向灘までの地域が空白地帯となるため、「南海トラフ海底地震津波観測網:N-net」の整備が進められていました。
そのN-netの沖合システムの整備が完了し、7月1日から試験運用が開始されたことで、太平洋沖の地震海底観測網の空白地帯がなくなります。
南海トラフ海底地震津波観測網:N-netの概要
N-netは沖合システムと沿岸システムからなる観測網で、それぞれのシステムは海底ケーブルと観測ノードで構成され、東は室戸ジオパーク陸上局、西は串間陸上局の2つの陸上局に陸揚げされます。
上図のとおり沿岸システムと沖合システムがあり、それぞれ18台(合計36台)の観測ノードを設置。観測ノードには地震を観測する地震計や、津波を観測する水圧計等が格納されています。
ノードにより観測されたデータは、光海底ケーブルによって「室戸ジオパーク&串間」の2つの陸上局に伝送。各陸上局からは地上通信回線によって、防災科研のデータセンターなどに伝送されます。
海底に設置するN-netの観測ノードの概要
これは、日テレNEWSで紹介された画像を加工し直したものです。ニュース映像ではテロップによって、各部の名前が隠れてしまっていたので、観測ノードの概要図をニュース映像から加工し直しました。
この観測ノードが各システムに18台あり、ケーブルの重量を加えれば1システムで18t以上の重量となるため、設置してしまうと簡単に動くことはないでしょう。
今回は、2つのシステムのうち「沖合システム」の整備が完了。試験運用を行いながら沿岸システムの整備を進め、2025年3月末を目途にN-netの整備が完了する予定です。
沿岸システムの整備が完了すれば、地震を最大20秒早く、津波を最大約20分早く検知することが可能となります。