新国立競技場はお金の前にまずスタジアムの“性格”を決めよ
もし新国立競技場が、東京五輪のメイン会場としての使命を担っていなければ、陸上トラック付きではない球技専用スタジアムにした方がいい。個人的にはそう思う。
サッカー観戦者にとって、トラックはピッチとスタンドを遮る、まさに邪魔者。これほど迷惑なものはない。見にくさだけではない。ピッチが遠いと、スタンドとピッチが一体になりにくい。ライブの魅力が薄れるのだ。
陸上の大きな競技会が、そこで頻繁に行われるなら問題は何もない。致し方ないと諦めもつく。だが、滅多に開かれない場合はそうはいかない。
2002年日韓共催W杯で使用された10会場で、陸上トラック付きのスタジアムは6つを数えた。宮城、新潟、横浜、静岡、大阪長居、大分。同じ頃、建てられた味スタこと東京スタジアムもそれに含まれる。
聞くところによれば、公共のスタジアム建設は、総合競技場が原則なのだという。使用目的が、特定の競技に偏ると公共性が低いと見なされ、予算がつきにくい。サッカー専用スタジアムは、平等の原則に反するのだという。
だが、例えば横浜国際・日産スタジアムで、世界的な陸上の大会は、これまでどれほど行われただろうか。
開閉会式を行う場所が別にあれば、あるいは、メイン会場が別にあるなら、新国立は球技場にと、もう少し声高に叫んでいるだろうが、大袈裟に言えば、そう言うことだと思う。建築家に設計を依頼する前に考えるべきことは。
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