【国富町】肩身の狭い古墳たち:形を変えながら残る33・36・14号墳の現在
《本庄古墳群》
( 9 ) 33号墳(鎧塚)、36号墳(千貫塚古墳)、14号墳
1934年に国指定文化財となった本庄古墳群ですが、開発の波にのまれ、削り取られて原形をとどめていない古墳が数多くあります。今回紹介の33、36、14号墳もそんな悲劇の古墳です。
・33号墳(鎧塚):直角に切り取られた古墳
前方後円墳ですが、削り取られすぎてほぼ半壊状態。1990年には一部が自然崩落もしました。もはや前方後円墳のかけらもありません。県道26号沿いのAコープ従業員用駐車場奥にあります。甲冑、鉄刀等が出土したという記録があり、鎧塚という別名はそれが由来だと思われます。
下の写真のように、南側からみると通常の古墳にみえますが……
南西からみると縁は絶壁、角は直角に削り取られています。以前、話題になった四角いスイカを思い出しました。33号墳も削られたというより、四角い容器の中、容器に合わせて今の形になったという印象です。
西側の窪んだ部分が登り口です。
墳丘からのながめ。墳丘は平らです。この直線具合、古墳という感じはしませんね。
それにしても、よくここまできれいに削りましたね。これはこれで、美しい気もしてきました。
住所:〒880-1101 宮崎県東諸県郡国富町大字本庄字義門寺4482 (地図)
※古墳前の駐車場は、従業員専用のため、利用はお控えください。
ちなみに、となりのファミマはすでに閉店となっています。次に何が建つんでしょう?(2024年11月下旬)
・36号墳(千貫塚古墳):祟りの噂あり?
変電所の隣に位置し、周りは住宅街。これも箱にぎゅうぎゅうに押し込められた感じの古墳。今では円墳ですが、1934年の調査報告では「前方後円墳」と記されています。開発などで切り崩されたのかもしれません。近年では変電所の建築や畑の造成などにより、さらに削り取られ、原形をとどめていません。この古墳は祟りがあると言われ、発掘作業がされなくなったとの噂があります。祟りの詳細については不明です。
旧道の国富町商工会、左側の小道を進んだところに36墳はあります。
住所:〒880-1101 宮崎県東諸県郡国富町本庄字宗仙寺4069 (地図)
古墳の保護と祟りの効果
エジプトのツタンカーメン王墓の入り口には、このような文字が刻まれていました。
墓荒らしに対する警告だったかは定かではありませんが、抑止力として一定の効果があったかもしれません。一方で、36号墳に関して祟りの噂があったという話もありますが、その真偽は不明です。ただし、もし仮にそうした噂が実際にあり、早い段階で広まっていたとすれば、原形を保っていたかもしれません。
・14号墳:住宅に囲まれた小さな古墳
県道26号線から少し離れた、15号墳近くにあります。円墳ですが、4面が切り取られているため、原形が分かりません。高さ約1.7mの小さな古墳です。民家の前にあるので、さくっと見学して立ち去りました。
住所:〒880-1101 宮崎県東諸県郡国富町大字本庄字東ノ原4605-10 (地図)
・開発の波に飲まれた悲運の古墳たち
前後で分断された13号墳もそうですが、開発のためとはいえ、原形をとどめないほど削り取られてしまったこれらの古墳。なんとかならなかったのか、という思いは正直あります。ただ、当時の状況が分からないので、ここで意見を言うべきではないでしょう。
また、昔は古墳の重要性がまだ認識されていなかったこともあるでしょう。今、私たちがやるべきことは、これ以上壊れないように、保護することですね。
取材協力:中野正裕様(くにとみ史跡・文化ガイドの会会長)
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