【河内長野市】脇役が主役!ダンボールの持つアートの可能性に挑戦する工房ORIGAMI林さんが目指す道
「縁の下の力持ち」という言葉がありますね。主役を引き立てるわき役の重要性のような意味合いがありますが、主役を支える存在が主役、それ以上の可能性を秘めていることを注目している、アーティストと言えるべき方が河内長野にいらっしゃいます。それは高向にある大阪ケース製作所内にある工房ORIGAMIの林洋平マネージャー(以下、林さん)です。
林さんがアート作品として扱っているのは、ダンボールです。ダンボールと言えば箱状にして、アート作品を含めたあらゆるものを収納するための、「脇役」です。しかし、林さんにかかれば、「脇役」が「主役」に、それも無限の可能性を秘めていることがわかるのです。
林さんのダンボールアートを知るきっかけになったのは、8月に行われたお城フェスの河内長野ブースを見た時のことです。
烏帽子形城の展示の中に大阪ケース製作所の出品物としてダンボールでできた甲冑が展示してあったのです。
中世の時代の武士は甲冑に身を包んで戦に出ましたが、本物の甲冑はとても重たいもので、現代人にとっては歩くだけでも一苦労です。
その点、ダンボール甲冑なら軽いので子どもでも簡単に着用できます。こちらは楠木正成モデルです。そして、ダンボール甲冑を作っているのは大阪ケース製作所内にある工房ORIGAMIさんです。
その後、月一回、長野商店街のにぎわいプラ座で行なわれているカジュアルワイン会で、林さんがダンボールについてのプレゼンテーションを行いました。
林さんは、ダンボールが誕生した歴史から体系的に説明してくださいました。150年前のイギリスのシルクハットの悩みからスタートし、100年前の大正時代に日本に入ってきたそうです。
次にダンボールの製造工程の説明もありました。異なる3つの紙をひとつにまとめるそうです。確かにダンボールは間にギザギザした紙が挟まっていますね。それを作る手順をわかりやすく説明してくれました。
ダンボールの材質も様々で、3枚だけでなく7枚くらいの紙を合わせた強力なダンボールなどもあるとのこと。
そしてこれは、「なるほど!」と思ったのは同じような容量が入るダンボールの箱でも、設計の方法ひとつで、使用する紙のサイズが違うというのです。
同じ量が入るのなら少しでもダンボールの使用量を減らすような提案も行うそうです。知らない知識を多く頂きました。
そして、林さんは工房ORIGAMIとして、従来の枠にとらわれないダンボールの活用を提案しています。
例えば、河内長野と言えばモックルですが、モックルをダンボールでデザインしたかと思えば
このように立体的なものまで。単なるモノを入れる箱から、段ボールアートの世界を創作し続けているのです。
とても気になった私は、後日、高向にある大阪ケース製作所さんにお邪魔して、林さんに詳しくお話を伺うことにしました。
ちなみに「みわ」と書いてありますが、これは別の方が工場の敷地内にある一角を借りて、会員向けにいろいろな活動をしているとのこと。
1988年創業の大阪ケース製作所の敷地内に入りました。ダンボールが積まれています。
そして正面に青いコンテナが見えました。あそこが工房ORIGAMIさんです。林さんの段ボールアートはあくまでサブの作業にすぎません。メインは、顧客からの要望に応じて、オーダーメイドのダンボールをCADを使って設計して納品する作業を行っています。
こちらです。林さんはコンテナ内を事務所に、隣に工房を持っています。林さんの話では大阪ケース製作所では正社員、パートの他に外国人研修としてフィリピン人が4名働いているそうです。ただ原則として日本語で応対し、それは日本語を学ぶ研修の意味もあるからとのこと。
中に入るといきなり驚きました。ダンボールでできたテーブルと椅子があります。試しに椅子を少し腰掛けましたが、全く動くことなく安心して座れました。
事務回りやカウンターもパソコンやティッシュなどの一部をのすべてダンボールで出来ています。単なる飾りではなく実用的になっているのが驚きですね。
林さんの前職はダンボールとは無縁でした。体調を崩して会社を退職したことがきっかけで、大阪ケース製作所に入社したのは3年ほど前です。大阪ケース製作所の三代目社長が林さんと同級生だったことがきっかけとのこと。
未経験だった林さんは、最初の1~2年、ダンボールについて勉強しました。約2年ほど前に会社にCADが導入。そこでCADを使った新事業を行なうことになり、林さんが責任者として、今年から工房ORIGAMIを会社内に立ち上げたのです。
工房ORIGAMIを立ち上げた理由のひとつとして、河内長野の人に会社のことをもって知っていただく機会というのもありました。林さんは設計も未経験でしたが、導入されたCADを使いながら独学で勉強し、実際に使いながら試行錯誤を重ねたそうです。
当初、河内長野市の産業観光課が依頼していたものは、甲冑だけがダンボールだったそうです。そこで林さんが「刀もダンボールで作れますよ」と提案し、甲冑と刀もダンボール製となりました。
これはイベントで使用したダンボールで作ったゲームです。
災害用のダンボール製トイレやペーパーホルダーまであります。林さん自身が自分が楽しく思いついたことを自由に創作活動を続けているそうで、社長も何も言わず、林さんに任せているとのこと。
ダンボールの硬度なども、林さんがネットなどで調べて導入しているそうで「ダンボールの歴史の中で培ってきた技術をもとに、さらに応用していければ」ということでした。
ダンボールは分解や組み立ても簡単です。その様子を動画に撮影しました。
次に林さんに工房を案内していただきました。大阪ケース製作所の倉庫スペースを工房にしたとのこと。
こちらが、林さんがダンボールの可能性を追及している工房です。
CADの機械で、オーダーメイドの段ボール設計を中心に行なっています。
工房内の時計ももちろんダンボールです。
こちらもイベントで使ったというダンボールアート。廃材工作コーナーの一環としての作品です。
大きなダンボールがこちらで切断されていきます。林さんによれば設計は大変ですが、設計が決まればそのあとの形にする工程は早いとのこと。
ダンボールの弱点は寿命が短いことですが、ダンボールベッドは半年以上持つ実績があります。デメリットといいながら、すぐに廃棄ができるという意味ではメリットにもなるとのこと。そして、CADの機械の下の小物入れももちろんダンボールです。
段ボールアートの中には再利用する場合もあるとのこと。例えばこちらのティッシュケース入れはダンボールでできています。
そして中を見せて頂くと、何か文字が書かれています。
このダンボールは、あるユーザー向けの箱として納品する予定でした。
ところがインクがついてしまい、納品されませんでした。林さんはそういった不良品のダンボールを再利用して効率よくアート作品を作ります。ティッシュケース入れは、大阪ケース製作所内で再利用されています。
林さんは、他の業者では話も聞かないような個人レベルの依頼も受けているそうです。たとえば、中学生の娘さんの誕生日のサプライズボックスを作りたいと連絡がありました。次々と断られたことで、最終的に林さんを頼ったのです。
林さんは快く引き受けてサプライズボックスを作って納品すると、後日誕生日の様子の動画を送ってくださったそうです。またプチプチが好きな介護施設の入居者には、ハート型のプチプチを納品。大変喜ばれたとのこと。
林さんは自分の考えてとして「本当は社長も個人のニーズに応じたオーダーメイドのダンボールの設計をしたかったのでは?」と言います。
大阪ケース製作所には、これまでオーダーメイドのダンボールの製作依頼はありましたが、社長以下従業員はそこまで手が回りませんでした。
林さんが入社したことで、オーダーメイドの対応ができるようになり、さらに個人向けも可能なダンボールアートを手掛け、顧客獲得のために日々奮闘しているのです。河内長野で頑張っている企業なので、本当に応援したくなりますね。
余談ですが、工房ORIGAMIと同じ高向にある大阪府立花の文化園で、昨日ブルーアマリリスが4年連続で開花したとの情報を得ました。ブルーアマリリスは3・4日しか花が楽しめませんので、連休最終日の23日に花の文化園でブルーアマリリスを眺めてみてはいかがでしょう。
工房ORIGAMI(大阪ケース製作所直営店)(外部リンク)
住所:大阪府河内長野市高向94
TEL:080-2417-4588
アクセス:南海・近鉄河内長野駅からバス 高向バス停下車徒歩2分
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