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レンドーンの復帰は、来シーズンではなく今シーズン!? エンジェルスのポストシーズン進出はまずないが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
アンソニー・レンドーン(ロサンゼルス・エンジェルス)Apr 26, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、ロサンゼルス・エンジェルスでは、11人が三塁を守っている。先発出場に限っても、9人を数える。

 理由は、アンソニー・レンドーンの離脱だ。6月17日、エンジェルスは、来週早々にレンドーンがシーズン終了となる右手首の手術を受ける、と発表した。

 けれども、レンドーンの復帰は早まるかもしれない。9月12日、オレンジ・カウンティ・レジスターは、「アンソニー・レンドーンはシーズンが終わる前にエンジェルスのラインナップに戻ることをめざしている」と題した、ジェフ・フレッチャーの記事を、サイトに掲載した。

 それによると、レンドーンは、守備練習に続き、打撃練習も始めたという。予想を上回るスピードで回復している、ということだろう。

 ただ、エンジェルスが今秋のポストシーズンへ進む可能性は、限りなくゼロに近い。復帰を急ぐ必要は、ないようにも思える。レンドーンは、エンジェルスと7年2億4500万ドルの契約を交わしている。この契約は、2026年まで続く。

 フレッチャーは、シーズンが終わる前に復帰することの利点について、怪我を気にせずにオフを迎えられる点とともに、出場停止処分の「消化」を挙げている。

 6月26日に乱闘が起きた際、レンドーンは、故障者リストに入っていたにもかかわらず、そこに加わり――下の写真の中央に写っているのが、レンドーンだ。右手に注目してほしい――5試合の出場停止を科された(「乱闘の処分。エンジェルスは9人が計33試合、マリナーズは3人が計14試合」)。今シーズン、故障者リストからアクティブ・ロースターに戻り、5試合を過ごせば、来シーズンは開幕から出場することができる。

Jun 26, 2022
Jun 26, 2022写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 エンジェルスは、ポストシーズン進出がほぼ潰えているので、アクティブ・ロースターにいる選手のうち、1人が出場できなくても――それによって、試合に勝てなくても――問題にはならない。また、9月に入り、アクティブ・ロースターの人数は、26人から28人に増えている。

 もっとも、フレッチャーによると、レギュラーシーズンが5試合よりも多く残っている時点で、レンドーンはアクティブ・ロースターに戻る必要があるという。出場するためではなく、出場停止処分を「消化」するためだけの復帰――アクティブ・ロースターに戻っても出場はしない――は、MLB機構に認められないらしい。

 なお、エンジェルスに入団後、レンドーンは、60試合以上に出場したシーズンがない。2020年が52試合、2021年が58試合。今シーズンは、ここまで45試合だ。2020年は短縮シーズンながら、ここ2年は故障に泣かされている。加えて、2020年はOPS.915を記録したものの、2021年と2022年のOPSは、どちらも.715未満だ。その前の4シーズンは、ワシントン・ナショナルズでいずれも135試合以上に出場し、2017~19年のOPSは、3シーズンとも.900を超えていた。

 今シーズンの「ハイライト」を挙げるとすれば、これだろうか。

「右打者のレンドーンが初めて左打席に立ち、ホームランを打つ。スイッチ・ヒッター以外に前例はある!?」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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