今年の田んぼアートは10月14日まで! 弘南鉄道弘南線 田んぼアート駅(青森県南津軽郡田舎館村)
北方稲作文化発祥の地である南津軽郡田舎館村は「田んぼアート」を町おこしに活用している村として知られている。田んぼアートとは、田んぼをキャンバスに見立て、色の違う稲を使って絵や文字を描くものので、約30年前に田舎館村から始まった。田舎館村では毎年違う絵柄で田んぼアートを作成して観光客誘致に活用しており、役場東側の第1会場と道の駅いなかだて「弥生の里」西側の第2会場がある。そのうち第2会場のすぐそばに設けられている駅がその名も「田んぼアート」駅だ。
田んぼアート駅は平成25(2013)年7月27日開業。弘南線と大鰐線の二つの路線を持つ弘南鉄道では最も新しい駅である。第2会場での田んぼアートが始まって2年目の開業で、開業と同時に第1会場と第2会場を結ぶシャトルワゴンも運行を開始している。
駅の構造はいたってシンプルで駅舎はなく、ホーム上に待合所が設けられているだけだ。田んぼアートへのアクセス駅として開業しただけあって冬期休止駅で、12月1日から3月31日まではすべての列車が通過する。ただし、平成28(2016)年から2月の3日間のみ開催されている「冬の田んぼアート」の期間中のみ列車が停車する。近くに田んぼアートだけでなく道の駅や博物館もあることを考えれば通年営業でもよさそうなものだが、日常利用があまり見込めないうえに除雪費用がかかるのがネックなのだろう。
駅を出てすぐのところに建つ塔が田んぼアートを見学するための弥生の里展望所だ。入館料は大人(中学生以上)300円、小学生100円、未就学児無料だ。開館時間は午前9時から午後5時(最終入館午後4時30分)で、それに合わせて駅に列車が停まるのも8時台から17時台となっている。駅前の駐車場はパークアンドライド用にも開放されているが、果たしてその用途での利用はどれほどあるのだろう。
今年の第2会場の田んぼアートの作品テーマは「じいさんばあさん若返る」だ。平川市出身の漫画家・新挑限(あらいど・かぎり)さん原作の漫画で、今年4月から6月までアニメが放送された。
作品の舞台は津軽の農村で、金色の林檎を食べて若返った林檎農家の老夫婦が主人公だ。作中には弘南鉄道も登場し、4月からは作品ラッピング列車も弘南線で運行されている。運行期間は一年間なのであと半年ほどだ。
ちなみに第1会場の作品は「神奈川沖浪裏と北里柴三郎」だが、稲の発育不良で絵柄が分かりにくくなってしまっている。
田んぼアートの隣には石のアートもある。題材に選ばれるのは著名人で、去年からは青森市出身の板画家・棟方志功氏が題材となっている。
石のアートの向こうに聳えるのは津軽富士・岩木山。展望塔からは田んぼアートや石のアートだけでなく津軽平野ののどかな風景も眺めることができる。左に見える建物は「遊稲の館」で、古代米を使ったおはぎやサイダーを味わうことができる喫茶店が併設されている。
展望塔から東側を見ると、道の駅や田舎館村博物館、埋蔵文化財センターが見える。埋蔵文化財センターは弥生時代の水田の跡が残る垂柳遺跡を保存したものだ。
田舎館村の田んぼアートは第1会場・第2会場ともに今年は10月14日(月祝)までの営業だ。田んぼアート駅の営業期間はあと2か月残っているものの、「じいさんばあさん若返る」の田んぼアートを見られるのはあと2週間ほど。気になるけれど、まだ行けていないという方は急いだほうがよいだろう。
田舎館村田んぼアートオフィシャルサイト
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