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スポーツ産業はカジノ産業が支えます(by MGM社)

木曽崇国際カジノ研究所・所長
(写真:アフロ)

以下の様な報道がなされました。

MGMがラスベガスでNBA再開プラン提案と米報道

https://www.nikkansports.com/sports/news/202005040000055.html

米ネバダ州ラスベガスで複数のカジノホテルを展開するMGMリゾート・インターナショナルが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でシーズンが中断しているNBAに残り試合を同地で行う再開プランを提案したことが明らかになった。

米ニューヨーク・タイムズ紙が報じたもので、選手や家族、スタッフら関係者、プレス等にラスベガスストリップのホテルを宿泊施設として提供し、同じエリアに隔離した状態で練習を再開させ、コンベンションセンターで無観客で試合を行い、テレビ中継をするというプランを提案しているという。

コロナ被害により現在シーズンが中断しているNBAに対し、ラスベガスを本拠とする米国カジノ大手、MGM社がシーズン再開の為の支援を申し出たとの報道。現地メディアの報道によると、MGM社はNBAのみならず、アイスホッケーのNHL、サッカーのMLSなど他のプロスポーツ競技団体にも同様の声がけをしているとのことです。

勿論、カジノ産業側もただスポーツを支援するというだけの意図ではなく、当然ながら営業にとってプラスになるからでありまして、その鍵となるのがスポーツベッティングというスポーツの試合にベットが出来るという賭博サービスの存在です。これは、以前私のYouTubeチャンネル側の動画でも解説を行いましたが、現在のコロナ禍にあってスポーツ競技が無観客で競技を実施する為にはゲート収入(入場料収入)の代替となる何らか他の収入減が必要。その最大の代替収入がスポーツの結果に外から賭けを行って生まれる収入であり、日本の公営競技がこのコロナ禍にあっても無観客で試合を提供出来続けているのは、その為なんですね。以下、私のYouTubeチャンネルから。

未だロックダウンが続いているラスベガスですが、そろそろ経済活動をどの様に再起動するかという、いわゆる出口戦略の論議が公民共に始まっています。今回のMGM社から各スポーツ競技団体に向けて発された提案は、まさに私企業MGM社としての業務の再起動を支える戦略でもあるのでしょう。予定されていたイベント等がすっ飛びどうせ使ってないアリーナならば、無料ででも貸し出した方が事業者としてはその先に繋がりますし、一般の商業施設と比べれば圧倒的に規模の大きい統合型リゾートは「3密を避ける」という面では他と比べれば優位性があります。

MGM社側としては「Win-Win」の関係を築けると目論んでの提案となりますが、各競技団体はどの様に反応するでしょうか。引き続き見守って行きたいと思います。

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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