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ラニーニャ発生の可能性が引き下げ この冬の天候はどうなる?

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
寒波襲来、日本列島を覆う雪雲(2022年1月13日)、ウェザーマップ作画

 最新の予測によると、この冬、ラニーニャ現象が発生する確率は前回よりも10ポイント下がり、50%となりました(発生しない確率も50%あります)。

 ラニーニャ現象の特徴が現れつつあるものの、発達は弱く、発生に至らない可能性が出てきました。

 ラニーニャ現象が発生すると、全国的に気温が下がり、寒い冬になる傾向がありますが、この冬の寒さや大雪はどうなるのでしょうか?

この冬の予想「気温は低め、雪は多め」

 ラニーニャ現象とは南米ペルー沖の海面水温が基準値よりも低くなる現象で、日本の天候に大きな影響を与えます。

 この冬はラニーニャ現象の発生を見込み、冬の平均気温は西・東日本で低くなる可能性が高くなっています。

【気象庁・寒候期予報】冬(12月~2月)の平均気温の予想、ウェザーマップ作画
【気象庁・寒候期予報】冬(12月~2月)の平均気温の予想、ウェザーマップ作画

 また、降雪量もラニーニャ現象の影響で、冬型の気圧配置が強まりやすいことから、日本海側では多くなる予想です。一方、太平洋側は冬の間、南岸低気圧が少なく、降水量は少なくなる可能性が高いです。

【気象庁・寒候期予報】冬(12月~2月)の降水量の予想、ウェザーマップ作画
【気象庁・寒候期予報】冬(12月~2月)の降水量の予想、ウェザーマップ作画

いつ頃から寒くなる?

 きょう(13日)の東京は午後1時前に、最高気温26.6度を記録し、今年147日目の夏日になりました。一年の半分近くが夏日となる異例の年となっています。

 こちらはラニーニャ現象が発生した時の平均気温を確率で示した図です。上から順に、10月、11月、12月、1月となっています。

ラニーニャ現象が発生した時の日本の天候の特徴を統計的に調べたもの、気象庁ホームページの図表に筆者が説明文と破線丸を加えた。
ラニーニャ現象が発生した時の日本の天候の特徴を統計的に調べたもの、気象庁ホームページの図表に筆者が説明文と破線丸を加えた。

 10月は全国的に気温が高いですが、11月になると北・東日本で気温が低くなり、12月をピークに、西・東日本は統計的に有意な低温を示します。

ラニーニャ現象が発生しなかったら?

 ラニーニャ現象はこれまで17回発生し、そのうちの5回は秋に発生しました。秋に発生するラニーニャ現象は中程度の発達で、短い傾向があります。

ラニーニャ現象が発生した季節を調べた図(1949年~2023年)、筆者作成
ラニーニャ現象が発生した季節を調べた図(1949年~2023年)、筆者作成

 今後、12月、1月をピークにラニーニャ現象が発生するとみられていますが、発達の程度は弱く、短期間で終わる可能性が高いです。

 ラニーニャ現象が発生しなかった場合でも、大気の流れはラニーニャ的な特徴を示すため、日本海側では大雪となる時期があるでしょう。

 昨年の冬は記録的な暖冬となりましたが、この冬は冬らしい天候が戻ると思います。

【参考資料】

気象庁:エルニーニョ監視速報(No. 385)2024 年 9 月の実況と 2024 年 10 月~2025 年 4 月の見通し、2024年10月10日

気象庁ホームページ:エルニーニョ/ラニーニャ現象に関する知識

気象庁:寒候期予報(2024年12月~2025年2月)、2024年9月24日

米海洋大気局(NOAA):October 2024 ENSO update: spooky season、October 10, 2024

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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