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シャビ・バルサの「WG×IH」の化学反応とフェランの使い方。

森田泰史スポーツライター
アルバとメンフィス(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

セカンドポジションを、死守したいところだ。

2021−22シーズン、リーガエスパニョーラ制覇を成し遂げたのはレアル・マドリーだった。4試合を残した時点でマドリーの優勝が決まったが、上位陣の戦いは終わっていない。バルセロナ、セビージャ、アトレティコ・マドリー、ベティスといったチームが、来季のチャンピオンズリーグ出場権を得るためにしのぎを削っている。

一時はホームで勝てない試合が続いた
一時はホームで勝てない試合が続いた写真:ロイター/アフロ

バルセロナは、そのなかで、トップ4以内でのフィニッシュに近いと言える。

昨年11月にシャビ・エルナンデス監督が就任。チームの状態が良くなり、一時は15試合無敗という記録をつくった。本拠地カンプ・ノウで3連敗と不安定な感は否めない。しかしながら徐々に進むべき方向に進んでいる。

■ウィングとインサイドハーフの使い方

一方、気になる点はある。シャビ監督のウィングとインサイドハーフの使い方だ。

筆頭は、フェラン・トーレスである。直近の試合(マジョルカ戦)では、右ウィングに据えられた。それまでは左WGでのプレーが多かった。

フェランは今冬の移籍市場で、移籍金5500万ユーロ(約74億円)でマンチェスター・シティからバルセロナに移籍した。ここまで、6得点6アシストと悪くない数字を残している。だが高額な移籍金で加入した選手であり、バルセロニスタと現地メデイアの期待は高い。

「フェランについては心配していない。ゴール、アシストを、決めてきている。私は彼のプレッシングやハードワークに満足している。ここで止まらないで欲しい。ゴールを再び決められる日は必ずくるはずだから」とはシャビ監督の言葉だ。

シャビ監督のフェランへの信頼は厚い。フィールドプレーヤーでは、ジョルディ・アルバ、セルヒオ・ブスケッツに次いで、出場時間を得ている。

■フェランのノーゴールが続く理由

ただ、問題はその使い方だ。

現代フットボールでは、ウィングとインサイドハーフの組み合わせが、重要になる。

先のマジョルカ戦では、ガビ(左IH)とメンフィス・デパイ(左WG)が良いコンビネーションを見せた。ジョルデイ・アルバ(左SB)も加わり、左のトライアングルが機能した。

フェランはその試合で右ウィングに置かれていた。右インサイドハーフには、フレンキー・デ・ヨングが入った。フェランに対しては、度々、ダニ・アウベスからポジショニングの修正の指示が飛んでいた。

そもそも、シャビ・バルサで、右サイドにおいては「アイソレーション」が使われてきた。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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