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レアル・マドリーが欧州王者に返り咲いた理由。リヴァプールを倒せた戦術的要因とは。

森田泰史スポーツライター
ボールをコントロールするヴィニシウス(写真:ロイター/アフロ)

「我々はヨーロッパの王者だ!」

マドリディスタは声高に叫んだ。今季のチャンピオンズリーグ決勝で、レアル・マドリーとリヴァプールが激突。ヴィニシウス・ジュニオールの決勝点で接戦を制したマドリーが、クラブ史上14回目のCL制覇を成し遂げている。

■アイソレーションとマネのCF

マドリーは、盤石のメンバーでファイナルに臨んだ。

GKクルトゥワ、DFカルバハル、ミリトン、アラバ、メンディ、MFカゼミーロ、モドリッチ、クロース、FWバルベルデ、ベンゼマ、ヴィニシウスがスタメンに名を連ねた。

一方、リヴァプールは、ユルゲン・クロップ監督がルイス・ディアスを先発で起用した。そして、サディオ・マネをCFに据えた。

この試合前のプレビューで、私はあえてリヴァプールにフォーカスを当てていた。マドリーの対戦相手を裸にしておく必要があると考えたからだ。そこで記したように、L・ディアスとマネの起用でクロップ監督は「前プレ」と「アイソレーション」を強化した。

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■チアゴとモドリッチの駆け引き

序盤はリヴァプールが押していた。前線の配置もさることながら、負傷から回復したファビーニョとチアゴ・アルカンタラの存在が大きかった。

マドリーは「いつもの3人」が中盤に並んでいた。カゼミーロ、クロース、モドリッチだ。これに対して、リヴァプールの中盤にはファビーニョ、チアゴ、ジョーダン・ヘンダーソンが入った。

リヴァプールは、ボール保持時にチアゴがボランチの位置まで下がる。

マドリーは、これにモドリッチが引っ張られた。ファビーニョとチアゴでダブルボランチ化するリヴァプールに対して、モドリッチがプレスに出ていく。

モドリッチがチアゴを見なければいけない状況で、中盤のスペースが空いた。そこをファビーニョ、ヘンダーソンが使うだけでなく、アーノルドが「偽S B化」して利用、またWG(サラー)がハーフスペースにポジション取りして数的優位をつくった。

攻撃時、左サイドは基本的にL・ディアスのアイソレーションだ。だが、それに留まらず、L・ディアス、マネ、サラーが自由にポジションを入れ替えながらマドリーのマークを外す。

前述のように、マドリーの中盤では、すでにマークがずれ、スペースが空いていた。そこに、リヴァプールのWGの2選手やCFが下りてきて、前向きにパスを受ける。カゼミーロの対応が遅れ、マドリー側は後手を踏んだ。

また、リヴァプールはヴィニシウス対策もきちんと行っていた。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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