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終盤の『ハコヅメ』 俳優・滝藤賢一も驚いた、永野芽郁「怒涛の感情表現」

碓井広義メディア文化評論家
『ハコヅメ』原作漫画(筆者撮影)

好調の『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』(日本テレビ系、水曜夜10時)も、いよいよ終盤。

初回からずっと謎だった、藤聖子(戸田恵梨香)がハコヅメ(交番勤務)になった本当の理由が、徐々に明らかになってきています。

そこには、藤や源(三浦祥平)と同期だった婦人警察官、桜しおり(徳永えり)が関係していました。

かつて伊賀崎(ムロツヨシ)と一緒に交通事故の処理をしていた時、桜はひき逃げ事故に遭っていたのです。

一命はとりとめたものの、今も休職したままリハビリに励む桜。

ひき逃げ犯の逮捕を諦めない藤。

そんな藤が、新人婦警に執着する怪しい人物「守護天使」をおびき出すために、桜に似た川合麻依(永野芽郁)とペアを組んだのかもしれない・・・。

尊敬し、慕っている藤に対して、初めて疑念を抱いた川合の心は、千々に乱れます。

普段はバタバタと走り回り、ドジを踏み、泣き笑いの連続である川合。

いや、だからこそ、ふとした瞬間に見せる、抑えきれない感情の揺れが目を引きます。

この「抑えきれない感情」の表現こそ、女優・永野芽郁の真骨頂かもしれません。

7日に放送された『伊集院光とらじおと』(TBSラジオ)で、ゲストの滝藤賢一さんが永野さんについて語っていました。

滝藤さんは、2018年のNHK朝ドラ『半分、青い。』で、永野さんと共演しています。

伊集院さんが訊きました。

「(共演してみて)すごかったなっていう人、います?」

すると、滝藤さん―――。

「芽郁はすごかったですね、永野芽郁。ちょっと、ぶったまげましたね」

続けて、

「(朝ドラの)過酷なスケジュールの中で、(気力や体力を)どんどん消費するじゃないですか。(永野さんも)本番直前まではボーっとしてるんですけど、スイッチが入ったら、スタートが掛かったら、信じられないくらい感情があふれ出すんですよ。もう見入りましたね。すげえ女優がいるなって思いましたね。まだ19歳でしたけど」

「出来る人はそれが10代から出来ちゃうんだ」と感心する伊集院さん。

「まあ、どういう感覚で演(や)ってるか、わかんないですけど。滅多にないですね、あそこまで心を揺さぶられるって」

数々の現場で、たくさんの俳優たちと向き合ってきた滝藤さんでさえ、「見入ってしまう」ほどの感情表現。「滅多にない」ほど心を揺さぶられる演技。

永野芽郁、やはり只者ではありません。

『ハコヅメ』も、残すところ、あと2回のみ。

桜のひき逃げ事件の真相は? 

川合と藤の「つながり」の行方は?

滝藤賢一を驚かせた、永野芽郁の「怒涛の感情表現」が見逃せません。

メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。1981年テレビマンユニオンに参加。以後20年間、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶大助教授などを経て、2020年まで上智大学文学部新聞学科教授(メディア文化論)。著書『脚本力』(幻冬舎)、『少しぐらいの嘘は大目に―向田邦子の言葉』(新潮社)ほか。毎日新聞、日刊ゲンダイ等で放送時評やコラム、週刊新潮で書評の連載中。文化庁「芸術祭賞」審査委員(22年度)、「芸術選奨」選考審査員(18年度~20年度)。

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