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【西日本豪雨】復旧進むJR各線 1年以上かかる区間は1箇所に

小林拓矢フリーライター
山陽本線の貨物列車が復旧する日が必ずやってくる。(ペイレスイメージズ/アフロ)

 西日本豪雨からおよそ6週間。復旧は進む。厳しいと言われていた路線も、早くに復旧することができている。

 特に深刻と言われていたものの一つは、木次線の出雲横田~備後落合間だ。JR西日本の発表では、当初は「復旧に1年以上」。7月24日のプレスリリースでさえ、その段階だった。

 ところが8月8日、運行を再開した。芸備線の鉄橋が信号ケーブルごと流されてしまったことと関連して、木次線の信号機能も使えない、という状態になっていた。そこでJR西日本は伯備線のケーブルを使用し備後落合の信号を制御することにした。

 そういった工夫により、路線は生き返ることになった。

山陽本線の復旧は近い

 幹線の山陽本線の寸断が、この西日本豪雨の影響としては大きかった。乗客も多いだけではなく、貨物列車の通過も多い。

 瀬野~海田市間が8月18日に、柳井~下松、白市~瀬野間が9月中に復旧する。10月中には三原~白市間が復旧し、これで山陽本線は全線復旧となる。

 その間、貨物列車はトラックやフェリーを使い、代行輸送を行っている。一方でJR貨物は、伯備線・山陰本線・山口線を迂回するルートでの貨物輸送を検討していることを、8月3日に発表した。運転士養成、設備確認、ダイヤ調整を同時に行っている状態であるという。

 山陽本線全通に先立ち、貨物輸送の鉄道ルートが確保され、貨物輸送の不足が少しでも解消されることになった。

 JR西日本エリアでは、芸備線の三次~狩留家間を除き、以前の報道よりも速く復旧に向けた動きが進んでいる。最近では、8月10日に姫新線の上月~津山間が復旧した。

JR西日本プレスリリースより。緑がこの1週間、黄色が8月中、赤が9月中もしくは10月中、黒が2019年1月以降に運転再開予定の路線。
JR西日本プレスリリースより。緑がこの1週間、黄色が8月中、赤が9月中もしくは10月中、黒が2019年1月以降に運転再開予定の路線。

予讃線で運転再開

 JR四国の予讃線の本山~観音寺間の財田川橋梁の橋脚の一つが傾いていたため、この区間では運転を見合わせていた。橋脚の前後に仮の橋脚を設置し復旧、9日には運転を再開した。この区間での貨物列車の運行も再開した。

 残る卯之町~宇和島間では9月中に運行を再開し、その間はバス代行で輸送を確保する。

 今回の西日本豪雨での鉄道の被害は厳しいと言われていた。それでもなお、地域の輸送網と、日本全国に影響する物流網のために、復旧活動が行われている。

 時間がかかると言われていた路線でも、復旧のために工夫をこらした。貨物も、考えた上での迂回案を提示している。鉄道の復旧のために、現場では奮闘が続いている。

フリーライター

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学教育学部社会科社会科学専修卒。鉄道関連では「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」などに執筆。単著に『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)、『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。共著に『関西の鉄道 関東の鉄道 勝ちはどっち?』(新田浩之氏との共著、KAWADE夢文庫)、首都圏鉄道路線研究会『沿線格差』『駅格差』(SB新書)など。鉄道以外では時事社会メディア関連を執筆。ニュース時事能力検定1級。

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