ノート(135) 情状弁護に徹する事件における弁護人の役割分担と同期・恩師らの嘆願書
~裁判編(8)
勾留174日目(続)
弁護団の役割分担
起訴された犯罪事実を争わず、情状弁護に徹する場合でも、弁護団内には役割分担がある。例えば、犯罪事実そのものに関する情状を立証する弁護人と、これ以外の一般的な情状を立証する弁護人を分けるといったものだ。
僕の場合も、ヤメ検の弁護士が弁護団長や主任弁護人として前者を務め、僕と司法修習で同期だった弁護士らが後者を務めていた。
そこで、主任弁護人が弁号証のうち起訴事実に関する供述調書などの朗読を終え、着席すると、次に同期の男性弁護士の一人が立ち上がった。弁号証のうち、関係者の嘆願書などを読み上げるためだった。
まず、司法修習生時代に僕と同じクラスだったり、同じ修習地だった同期のほか、当時の指導担当官らの嘆願書の朗読から始まった。これらは弁護団が彼らに声をかけて集めてくれたもので、32人分に上っていたが、すべて弁護士であり、現職の裁判官や検察官のものはなかった。
さすがに立場上、法廷に提出される嘆願書に名前を出すことはできないとのことだったが、それでも弁護料や保釈保証金のカンパ集めには協力するという者もいた。
32人分を多いと見るか少ないと見るかだが、確かに嘆願書などには一切協力しないという同期も現にいた。しかし、弁護団のメンバーとして弁護に奔走している弁護士のほか、名前だけ連ねて弁護活動をしていない者も多く、それでも「弁護人」であることに変わりはないので、嘆願書を提出できなかっただけだ。
同じクラスや同じ修習地だった同期がトータルで70名程度であり、そこから弁護団メンバーと現職の裁判官、検察官の数を差し引くと、32人分というのは多い方ではないかと思われた。
これらの嘆願書はあらかじめ弁護団がワープロでフォーマットを作成していたことから、プリントアウトして各自が手書きでサインをするというパターンだった。ただ、ほとんどの同期らがこの雛形に僕との関係や修習時代の具体的なエピソード、僕への思いなどを付け加えていた。
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