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『ゴールデンウィークは宿題ナシ』がいい

親野智可等教育評論家
(提供:イメージマート)

先生たちにお願いです。ゴールデンウィークは宿題をナシにしませんか?

せっかくの休日ですから、子どもも親も先生も心から楽しめたりのんびりできたりする時間をたくさん持ってほしいと思います。

宿題は子どもも親も苦しめます。もちろん学力も自己管理力も高い子なら苦労しないでしょう。でも、公立小中学校の子どもたちは学力も自己管理力も個人差がものすごく大きいのです。

学力差を無視して一律に出された宿題によって、日々非常に苦しんでいる子どもたちが実際にたくさんいるのです。

先生がいる学校の授業中にもできないような問題を、家庭でできるはずがなく、一向に捗らない宿題を目の前にして悶々としながら虚しい時間を過ごしている子どもたちがたくさんいます。

そういう子にやらせなければならない親も大変です。「宿題やったの?」「ちゃんとやらなきゃダメでしょ」「なんでどんどんやらないの!何度言ったらやるの!」と叱り続ける親の労力とストレスは、先生たちの想像以上のものがあります。

せっかくのゴールデンウィークに叱ったり叱られたりの悲しい時間、それが一体誰のためになるのでしょうか?

これが続くことで、親子関係が悪化したり子どもの自己肯定感が下がったりなどの弊害が出ます。また、勉強へのネガティブな印象が刷り込まれてしまい、大人になってからも「勉強はイヤなもの」と思い込んでしまう可能性が高まります。

これが日本の大人たちのリスキリングがいまひとつ進まない理由だという説もあります。

宿題は先生の負担も大きいです。準備も大変ですし、それ以上に出した後も大変です。誰が出してないか調べて出すように言わなければなりません。丸つけしたり赤ペンやコメントを入れたりしなければなりません。

こういうことが先生の時間とエネルギーを奪います。そして、一番大切にすべき子どもたちとのコミュニケーションや授業準備の時間が確保できなくなります。そんな苦労の割には、宿題によって学力が特に上がるわけでもなく、学習習慣がつくわけでもありません。

せっかくのゴールデンウィークですから、子どもも大人ももっと楽しみましょうよ。自分がやりたいことや好きなことに熱中するもよし、のんびりと命の洗濯をするもよし…。

何か強迫観念のように、「仕事仕事…」「勉強勉強…」と詰め込むのはやめませんか?私たち日本人はいつまで、昭和や平成の罰ゲーム的発想から抜け出せないでいるのではないでしょうか?

それに、子どもたちが生きるこれからのAI時代においては、仕事においてもプライベートにおいても昭和や平成の時代とは違う能力が求められます。

昭和や平成では、上からやれといわれたことをちゃんとやる歯車的な能力が求められました。でも、これからは、自分がやりたいことを自分で見つけてどんどんやっていく能力が求められます。

その能力は従来型の一律にやらせられる宿題では身につきません。子どものときから、自分が好きなことを自分で見つけて熱中する豊かな時間によって身につくのです。

最後にもう一度お願いです。宿題が本当に個々の子どもためになっているか考えてみてほしいと思います。

また、家庭での様子も想像してみてほしいと思います。そうすれば、「この子にこれだけの宿題は無理だな。苦しむだろうな」とわかることも多いはずです。

教育評論家

教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。『子育て365日』『反抗期まるごと解決BOOk』などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。Instagram、Threads、Twitter、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。オンライン講演も可。お問い合わせは親野智可等の公式サイトから

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