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【親が叱って子どもが反発!さらに叱ってさらに反発】の悪循環から抜け出す方法

親野智可等教育評論家
(写真:アフロ)

子育て中の親はどうしてもわが子の短所に目がいきがちです。そして、「片づけができない。やるべきことをやらない。勉強しない。マイペースで困る。今のうちに直さなくては」と考えます。

その結果「○○しなきゃダメでしょ」と否定的に叱ることが増えます。でも、このように子どもの短所に注目して叱り続けても決してよい芽は出ません。

なぜなら、こういう子どもの短所のほとんどは生まれつきのものであり、簡単には直らないからです。

「片づけができるようになれ」「先にやるべきことをやれるようになれ」「テキパキ行動できるようになれ」「勉強しろ」などと言いたくなる気持ちはわかりますが、どれもこれも簡単なことではありません。

叱り続ければできるようになると、本気で思いますか?はっきりいって子どものうちには無理です。繰り返しますが、これらは生まれつきの資質によるものだからです。生まれつきのものを直すというのは本当に難しいことなのです。

大人になってからのほうが直る

かえって大人になってからのほうが直せる可能性は高まります。大人になって仕事や生活のことを真剣に考えるようになれば、直す必要性を強く感じざるをえないからです。

でも、子どものうちはそういう必要性を感じることはありません。ですから、子どものうちに直すことはできないのです。

私も子どものころはよく忘れ物をしましたが、大人になって仕事を始めてからはそういうことはほとんどなくなりました。また小学生のころ自分から勉強したことなどありませんでしたが、大人になってからはけっこう勉強するようになりました。みなさんも、そういうことはあったはずです。

親が子どものうちに直そうと思えば思うほど叱ることが増えます。その結果、子どもはどんどん自信をなくし生活全般においてやる気を失います。

同時に反発心が出てきて、親の言葉に素直に耳を傾ける気になれなくなります。叱られるストレスを兄弟や友達にぶつけることもあります。気持ちがささくれ立っているので勉強どころではありません。

既にこのような悪循環におちいっている方々も多いと思います。そこから抜け出すためにはどうすればいいのでしょうか?

悪循環から抜け出す方法

私のイチオシの方法は、子どもの短所には目を瞑って、その分その子の好きなことや熱中できることを応援して、たくさんやらせてたくさんほめて、先に伸ばせるところをどんどん伸ばしてあげることです。

そうすれば、子どもは毎日が楽しくなりますし、自分に自信が持てるようにもなり生き生きしてきます。がんばるエネルギーもわいてきて生活全般に張りが出てきます。

それによって短所がほ~んの少し改善することもあるかもしれません。そこまではいかなくても、目立たなくなるということはけっこうよくあることです。(でも、これについては期待はしないように)

また、ほめてくれる親の話には素直に耳を傾ける気にもなれます。心が満たされているので兄弟や友達にも優しく接することができます。つまり、いろいろな好循環が始まるのです。

何よりもよいことは親子関係がよくなること、そしてそれによって子どもの他者信頼感と自己肯定感も高まることです。この2つを発達心理学では基本的信頼感と呼んでいて、人間が幸せな人生を歩んでいくための土台中の土台です。

それに、自己肯定感さえあれば、大人になって「これを直さなくては」と必要性を感じたときに「自分なら直せるはずだ」と思うことができます。そうすれば実際に直る可能性が高まります。

短所に目をつむる勇気

このように悪循環を絶って好循環に変えるために絶対に必要なのが、思い切って短所に目をつむる勇気です。まずこれがないと、いつまでも同じことを言い続けることになり、循環の方向を変えることは決してできません。

親が思い切って、つまり今までの思いを断ち切って、目をつむる決意をしてください。そうすれば必ず好循環が始まります。

親はつい「好きなことや得意なところを伸ばしつつ同時に短所も直そう」などと考えがちですが、それ間違いのもとです。なぜなら、その気持ちがある限り否定的に叱ることがやめられないからです。ここは気をつけてほしいと思います。

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教育評論家

教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。『子育て365日』『反抗期まるごと解決BOOk』などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。Instagram、Threads、Twitter、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。オンライン講演も可。お問い合わせは親野智可等の公式サイトから

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