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【コツをつかむのが早い】は有利?不利?伸ばしたい試行錯誤力

畠山仁美所作講師

「コツをつかむが早い」のは、損か得か。あなたはどう思いますか?

所作の稽古をしていると、器用な人は、言ったことをすぐに再現できるし、指摘したことはすぐに修正できるし、数回でコツをつかむので、とてもスムーズに稽古をすすめることができます。その分どんどん先に進むことができる点では有利と言えます。

不器用であることのメリット

一方、不器用な人は、できるまでに何度も何度も練習するし、教える方も、手を変え品を変え、色々な角度から伝えてみたり、あれこれ工夫したりしながら身につけていくことになります。

時間がかかる分なかなか先へは進めませんが、つまづいている箇所を探ったり、何度もやり直すうちに、ふと新たな気づきを得ることがあります。それは生徒さんだけでなく、教えている私も、です。

不器用な人は、自分の覚えが悪いせいで迷惑をかけているんじゃないか…と恐縮される方がとても多いのですが、迷惑どころか、より濃いレッスンになることが非常に多いのです。これは不器用であることの大きなメリットです。

コツをつかむのが早いことのデメリット

コツをつかむのが早い人は、サラッとできてしまう分、できるようになるまで何度も試行錯誤する、という機会が圧倒的に少なくなりがちです。

自分だけの気づきやノウハウ、そこから得られる応用力などは、試行錯誤の過程で育まれるもの。それらを得ることができないのは、習得が早いことのデメリットと言えるでしょう。

試行錯誤するために必要なもの

試行錯誤するためには、「失敗」が必要です。失敗するためには、難易度を上げる必要があります。難易度を上げるためには、少し高めの目標が必要です。

コツをつかむのが早い人がすぐに出来てしまったとしたら、それは目標が低すぎたということ。

高めの目標を設定し、失敗し、違うやり方を試す。様々なやり方を試すうちに時々うまくいくことがあって、そこから自分なりの気づき(仮説)を得て、また違う方法を試してみる。その繰り返しの中で、自分オリジナルのノウハウや価値観が育まれていきます。

早く身に付くがゆえに学びが浅くなりやすい「コツをつかむのが早い人」が、「試行錯誤力」を身につけたら最強です。

試行錯誤の過程で時々訪れる、”ハッとする気付き” を楽しんでいるうちに、学びは自然と深まっているはずです。

所作講師

日常の振る舞いを見直すことで、心・体・生活を整えるお手伝いをする所作講師。立つ・座る・歩く・物を扱う・挨拶する、といった日常あたりまえに行っている所作を通して、振る舞いだけでなく自分の内面も見つめ直すレッスンが好評。2011年の開講以来マンツーマンレッスンにこだわり、一人一人と向き合ってきた。ブログ【所作美人のヒント】では、バタバタと忙しい日々の中で、所作を通して自分を磨く考え方を発信。著書「一日一分からはじめる『おだやかな人になる所作の習慣』」

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