ジェイムズウェッブの最新画像!「創造の柱」が美しすぎる
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「最強宇宙望遠鏡が捉えた創造の柱の最新画像が公開」というテーマで動画をお送りしていきます。
去年2021年12月25日には、あのハッブル宇宙望遠鏡の後継機と期待される「ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)」の打ち上げが成功しました。
ハッブル宇宙望遠鏡は高度約570kmを周回し、そこから宇宙を観測していたのに対し、JWSTは太陽-地球系の「ラグランジュ点2(L2)」というところから観測を行います。
ここは地球から150万kmほど離れた場所です。
そこで様々な調節を済ませ、今年7月から本格的な科学観測を始めることに成功しています。
それからいくつもの美しすぎる画像たちを公開していますが、今回は創造の柱の最新画像が公開されていたので、紹介します。
●創造の柱とは?
「創造の柱」とは、地球からへび座の方向に約6500光年彼方にある「わし星雲」という天体の中央部にある構造の名称です。
その正体は低温のガスや塵から成る、分子雲と呼ばれる巨大な雲です。
わし星雲には高温で輝く大質量星が多数あり、そこから放たれた紫外線や強烈な恒星風によって、徐々に雲は浸食されていきます。
その中で残った雲が柱のように見え、「創造の柱」と名前が付けられました。その壮大な見た目や名前から、非常に人気な天体です。
わし星雲のように星が活発に形成される領域では、創造の柱のような柱状の構造が見られることも多いそうです。
創造の柱の画像の中で特に有名なものに、2015年に公開されたこちらの画像があります。
これはハッブル宇宙望遠鏡が可視光線で撮影しています。
創造の柱はわし星雲の一部ですが、とてつもなく巨大な構造であり、3つの柱のうち左の最も大きい柱の高さが実に4光年もあります。
4光年は、太陽系とそこから最も近い恒星系「ケンタウルス座α星」までの距離に相当します。
●最新の画像が公開
そして10月19日とつい先日、ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が撮影した最新の創造の柱の画像が公開されていました!
こちらは人間の目では見えない近赤外線波長で撮影されているため、実際に得られた観測データをもとに、着色した上で公開されています。
拡大して詳細を見てみると、解像度が物凄いのもそうですが、柱のてっぺん辺りにある赤い領域が目に入ります。
これは塵の雲の中にある、誕生したばかりの若い星から放たれたガスのジェットが塵の雲と衝突し、高いエネルギーを得た塵の雲から赤外線が放たれているため、このように映っているそうです。
そしてこちらが、2015年にハッブル宇宙望遠鏡が可視光で撮影した創造の柱と、JWSTが近赤外線で撮影した最新の創造の柱の画像を比較したものです。
JWSTの方が圧倒的に解像度が高いのが一目でわかります。
また、ハッブルの可視光による画像だと全体がもやに隠れて背後の天体が見えにくいですが、近赤外線は塵の雲を透過しやすいため、背後の無数の星々や、柱の後ろに隠れていた星々でさえも透けて見えます。
●JWSTの関連画像
JWSTは今回の創造の柱以外にも、これまでに数々の美しい画像を公開しています。
その中でも個人的に特に好きな2枚を併せて紹介したいと思います。
○M 74
まずは、地球からうお座の方向に約3200万光年彼方にあるこちらの「M 74」という銀河の画像です。
アンドロメダ銀河と同様に、渦巻銀河に分類されます。
JWSTの観測能力により、渦状腕内部の構造など、非常に詳細な部分まで鮮明に映し出されています。
特にこの銀河の中心部にはガスがあまりないため、このように鮮明に星々の集団が見えていて美しいです。
そしてこの銀河の画像で特筆すべきなのは、以前ハッブル宇宙望遠鏡が可視光線で撮影した左の画像との比較です。
右はJWSTによる最新の赤外線画像、真ん中はこれらの画像を組み合わせた画像です。
可視光も赤外線も同じ電磁波で、波長が違うだけです。
それでも全く同じ銀河の同じ領域を異なる波長の電磁波で撮影しただけで、ここまで明確に異なった情報が得られることから、多波長で観測することの重要性が伺えます。
○コズミッククリフ
最後に紹介するのは、「コズミッククリフ(宇宙の断崖)」と呼ばれる領域をJWSTのNIRCamが撮影した画像です。
コズミッククリフは、地球から約7600光年離れたこのイータカリーナ星雲と呼ばれる非常に明るく巨大で有名な星雲の一部です。
イータカリーナ星雲はガスの密度が非常に高く、数多くの超大質量星や星団が発見されています。
そんなイータカリーナ星雲の右上の部分に、「NGC 3324」と呼ばれる星形成領域が存在しています。
コズミッククリフは、その右端の部分です。
NGC 3324は、巨大な星雲の空洞です。
NGC 3324中心部に存在する大質量星が放つ強力な紫外線と恒星風によって、星雲のガスが徐々に浸食され、このようなガスの壁が形作られています。
今後もJWSTが公開する新たな画像、そして新発見から目が離せそうにもありません!