4.6億年前、地球にはリングがあった可能性が判明!?
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「4億6600万年前の地球にリングがあった!?」というテーマで解説していきます。
4億6600万年前(オルドビス紀中期)からおよそ4000万年間は、この時期に形成された多数のクレーターの存在や、隕石の破片の存在などの証拠から、他の時期よりも隕石衝突が多発していたことが知られています。
隕石多発期間に対する一般的な説明として、「火星と木星の間の小惑星帯で小惑星が破壊され、その破片の一部が地球に飛来した」というものがあります。
しかしオーストラリアのモナシュ大学の研究チームが2024年9月に公表した論文では、一般的な説とは異なり、オルドビス紀中期の隕石衝突率増加の原因は「地球を取り巻くリング」である可能性が示唆されています。
●クレーターの分布の謎
研究チームは、オルドビス紀中期に形成されたことが知られている21個のクレーターが形成された当時の位置を、それらの現在の分布と地球の地殻プレートの変動モデルから推定したところ、驚くべき事実が判明しました。
なんとこれらのクレーターは、全て赤道から30度以内に集中していたことが明らかになりました。
またクレーターを保存できる大陸地殻の70%はこの範囲外にありました。
さらに通常、地球に衝突する隕石はどの緯度でも衝突確率が等しいと考えられています。
以上のことからオルドビス紀中期にクレーターを形成した隕石の落下が偶然にも赤道付近に集中したとは考えにくく、それが偶然に起こる確率は400万分の1に過ぎないそうです。
●地球にはリングがあった!?
研究チームによると、このクレーターの分布の偏りに対する最も自然な説明は、「4億6600万年前に小惑星が地球のロッシュ限界内を通過し、砕かれて赤道上空を取り巻くリングとなった」というシナリオなんだそうです。
ロッシュ限界とは、ある天体がより大きな天体に接近する際、潮汐力(重力の差)が原因で、その天体が崩壊せずに存在できる距離の限界を指します。
このロッシュ限界以内に接近すると、大きな天体の潮汐力が接近する天体を引き裂き、砕いてしまいます。
例えば、衛星が惑星のロッシュ限界に入ると、衛星は粉々に破壊される可能性があります。
地球のロッシュ限界内で砕かれた小惑星は粉々になり、その破片は地球の赤道上を取り巻くリングを形成します。
このようなリングから時折赤道付近に隕石が落下するため、これによりクレーターが赤道付近に集中していることを自然に説明できます。
実際に土星でも、リングから赤道付近に隕石が落下していることが観測で明らかになっています。
そしてリングは数千万年のスケールで徐々に消滅するため、隕石衝突が多発した時期が数千万年で終了した点も自然に説明可能です。
○気候変動と生物進化への影響
オルドビス紀後期には、急激な寒冷化が起きていた可能性が高いことが知られています。
仮にこの時期の地球にリングが存在したなら、リングが地球表面に巨大な日陰を形成したことが、急激な寒冷化の要因となったかもしれません。
また、オルドビス紀には生物の多様化が進んだとも考えられていますが、リングの形成と隕石衝突の多発という急激な環境変動が、生物の適応進化を促し、この時期の生物の多様化の誘因となった可能性があります。
このように、地球近傍での小惑星の破壊とリングの形成は、生物進化と気候変動に大きな影響を与えたと考えられるため、今後の検証が必要そうです。
惑星を取り巻くリングとしては土星のものが有名ですが、土星のリングは近年、今回解説した地球のリングと同様に、接近してきた小天体が砕かれて形成されたものであるという説が有力になってきています。